第3章 ─ かくとだに ─
膝に手を置いて俯くと……はっと我に返った。
私、何ひとりで話してるの……!?
顔を上げて旦那様の顔を見る。
冷たい汗が背中に流れていくのが分かった。
やだやだやだ恥ずかしい!頼まれもしないのに勝手に自分語りなんかして、面倒くさい子だと思われてしまう!
誤魔化すように『次、どこ行きましょうか!』と、わざとはしゃいで見せるけど上手くできてるだろうか……?
勢いよく立ち上がって先を行くものの、何も言わない旦那様との間に沈黙が流れる。
……やっぱり誤魔化せてなかったみたい。
恐る恐る振り返ると、旦那様は微動だにせず、怒っているわけでも、困っているわけでもない神妙な表情をしていて。
えぇぇぇ……その顔なんですか旦那様。まったく読めないんですけど……呆れてる?笑いを堪えてる?こんな変な子置いて今すぐ帰ろうとか思ってませんよね!?
冷や汗が止まらない。