第3章 ─ かくとだに ─
私は今、好きな人と腕を組んで歩いてる。
「~~~~~っ!!」
皆さん見てくださーい!この仲睦まじい姿を!この人、私の旦那様なんですよー!(夫婦じゃないけど)今は私だけの旦那様なんですー!
もうニヤニヤが止まらない。
嬉しすぎていつにも増して体温が高いような気がする……汗を欠かないようにしないと。
すると、旦那様が足を止めて心配そうな表情で私を見下ろした。
「顔が少し赤いね。暑かったかい?なにか冷たい飲み物でも飲もうか」
「っ……はい!」
返事を返すと旦那様は辺りを見回して、あるお店で視線を止めると私の肩を抱いて歩き出す。
止まったのはこじんまりとした甘味屋さんだった。
そこで、瓶に入った冷やしあめを差し出される。
店先に出された縁台に座って口に含むと、甘い砂糖水の中に生姜の味がほんのりとして乾いた喉を優しく潤してくれる。
ふぅっとひと息つけば、すっかり身体から熱が抜けていた。
「大丈夫そうだね」
「はい!もう平気です!」
二人分の瓶をお店の人に返すと、旦那様の腕を軽く抱き締める。
どんなに暑くてもこれだけは譲れない。