第3章 ─ かくとだに ─
そして……
「私ね。娘と一緒に街へ出掛けるのが夢なんだ……」
シュン……とした表情に胸が撃ち抜かれた。
旦那様は何度私をキュン死にさせたら気が済むのだろう。
でも大丈夫。旦那様の愛ですぐに復活するから。
「行きましょう!明日、二人きりで!とても楽しみにしています!」
なんだったら、その娘を私が産みますけど!!と言いそうになるのをグッと堪える。
だって、娘じゃなくてお嫁さんにして欲しいんだもん。
「ありがとう。私も楽しみにしてるよ」
パッと明るい笑顔を見せられて、手のひらに乗せられたとその時気付いた。
さっきの台詞だって、私が気を病まないようにする為の演技だったのかもしれない。
旦那様、意外とあざとい………好き!
ああ、もう旦那様への好きが止まらない。
今なら手綱の上でも小躍りできそう。
それにしても、二人きりで出掛けるなんて初めてだ。
今まで送り迎えや食事のときなど一緒に過ごす時間はあった。
だけどそんなに長い時間二人きりなんてことは滅多にない。
つまり今回のお出掛けは、私達の仲を進展させる絶好の機会なのである!
目指せ!脱子供扱い!せめて、一人の女性として意識されたいです……!