第1章 ─ しのぶれど ─
お膳を下げると、時任さんが屋敷で働く使用人さん達を呼んで私を紹介してくれた。
お座敷に集められた使用人さんは、ヤチヨさんをはじめに若い女中の方が他に四人。
この規模のお屋敷にしては少ない方だ。
ヤチヨさんの説明によると、時任さんが身の回りに多くの人を置くのが苦手だそうで、必要最低限にしているらしい。
他にも護衛の人が三人、三上さんという人が頭分だそうで二人の部下を連れている。
三上さんは四十代くらいの強面な人で最初ちょっと怖かったけど、私と目が合うと不器用ながらも微笑んでくれたので、絶対にいい人だと思った。
部下の方達もニコニコと笑ってくれて、まるで性格で採用しましたかって聞きたくなるくらい、皆優しくてホッとした。
こんなに和気あいあいとしているのは、時任さんが使用人の人達を大事にしているからだと雰囲気で伝わってくる。