第8章 ─ はるすぎて ─
ホッとして、目を瞑り想像してみる。
「私……旦那様に似た男の子が欲しいです」
でも、女の子でもいい。旦那様に似た穏やかな子で顔立ちもそっくりな……いやどちらにせよ、旦那様に似たら可愛い子が産まれるはず!
「……私はに似た娘がいいな」
ふと落ちてきた呟き。
声からして真面目に言ってるみたいだけど……残念ですが、断固拒否です!!
何故なら私に似てしまうと、きっとお父様大好き娘になってしまい、私と旦那様を取り合うことになるから。
そんなの駄目。平和ではない。
「なら、どちらも作りましょう!とにかくたくさん、三人は欲しいです!」
もちろん、全員旦那様そっくりの。
男の子だろうと女の子だろうと、兄弟は多い方がいい。
可愛い子供達に囲まれて、愛する夫と暮らすのが幼い頃からの私の夢だった。
けれど、私の言葉に旦那様は少し困った顔をして。
「それだと、毎日心配で倒れてしまいそうだよ」
苦笑するような声に、背中を撫でていた手を止めて身体を離した。
旦那様の顔を見つめる。
愛おしい、私の、この世で一番の素敵な旦那様。
安心させるようににっこりと笑う。
旦那様が一番はじめに笑いかけてくれた時みたいに、優しく穏やかに。