第7章 ─ きみがため ─
旦那様は器用なのか不器用なのか分からない……万年筆のインキは替えられないというのに。
しかしその手際の良さに、心がざわめく。
さすがに旦那様が初めてだとは思っていないけれど……こうも手馴れたところを見せつけられると、妬いてしまうのが複雑な女心というものだ。
「何か他のことを考えているね?」
そしてこの余裕、間違いない。
旦那様は女性の扱いに慣れていらっしゃる……。
「………考えてません」
「嘘をつく子は、こっちも可愛がってあげようかな」
そう言いながら片方の耳朶を触られて、あっという間に降参する。
「っ……や、弥一さんが…あまりにも慣れているので……他の方にも、こうしたのかなって……勝手に…妬いちゃい、ました……」
よし言った……言ったから、もう勘弁して下さい。
チラッと顔を伺へば、満足したようにこちらを見つめている。
「あの……」
「そんなこと気にするなんて、は可愛いね」
「あ……」
機嫌よく耳元で囁くと、そっと私を布団の上に寝かせる。
それから乱れた浴衣の上から胸の形を確かめるように、優しく撫で回す。
まだ軟らかな突起を布越しに摘まれた途端、脳裏に甘い快感が走った。
「あぁ…ん……」
「でも、こんなに敏感な子ははじめてだよ」
首筋や鎖骨に口付けしながら、旦那様は柔かな胸の先を弄り続ける。
指の腹で撫でたかと思えば、強く摘んだり、軽るく擦ったりと甘く翻弄される。
「少し弄っただけで固くなるなんて、ここも気持ちいいの?」
「ん……初めてだから……分からない、ですけど……ゃ…弥一さんに、触られると……勝手に、声がでちゃ…ぁ…」
「の素直なとこ、好きだよ」
旦那様に言われると恥ずかしいけど、それと同時に妖しい昂りが下腹部から込み上げてくる。
首筋にくすぐったさと柔らかな感触が押し当てらて、声を詰まらせると身体をひくつかせた。