第7章 ─ きみがため ─
ああ……えっと……何、したらいいんだっけ?
あれ?私、いつも旦那様と何話してたかな……?
頭が真っ白になって立ち尽くしていると、不思議に思ったのか旦那様が後ろを振り返った。
「?」
旦那様もお風呂に入ったようで、柳色の浴衣でかすり模様の帯をした着流し姿が様になっていた。
しかも、少しはだけた浴衣から覗く鎖骨を見てしまった。
…………色っぽすぎる。
私は、恥ずかしさのあまり目を伏せて、一歩も動けなくなった。
「。こっちにおいで」
緊張していることが伝わったのか、旦那様が私を呼んだ
その優しい笑みに誘われるまま、旦那様に近寄ってに向かい合わせに腰を下ろす。
「そんなに緊張しなくていいよ。がまだ怖いと思うなら何もしないから」
「っ……そ、それは嫌です!!」
慌てていうと旦那様は、ふっと表情を柔らかくして距離を詰めてきた。
「本当に?今なら聞いてあげられるよ」
私の火照った頬を旦那様の指先が撫でる。
怖くないと言ったら嘘になる……けど、このまま何も無いのは絶対にいや。
だって、触れて欲しい……旦那様にもっと、私を愛して欲しい。
ゴクリ、と唾を飲み込んで、真っ直ぐに見つめた。
「私は…旦那様が、欲しいです」
答えた声は緊張で掠れていた。
だけどそんな小さな声も旦那様には届いていたようで、蕩けるような甘い口付けをされた。