第7章 ─ きみがため ─
あれから、旦那様とは時々……ほんっっとごく稀に口付けするものの、それ以上はない。
私を大事にしてくれていると分かるけれど、私としたらそういうことになっても…まぁ。やぶさかではない。
でも旦那様には旦那様の考えがあるので、今までずっと何も言わずに大人しくしている。
………何度か寝込みを襲おとしたことはあるけど。
でも耐えてきた。
もしかしたら、今夜………と、考えていたところで、会話を終えた旦那様が立ち上がった。
瞬時に頭を切り替える。
駄目よ、しっかりしなさい!今日は私と旦那様の祝いの席、主役だからといって浮かれてはいけないのだ。
「、疲れていないかい?」
「平気です。ずっと嬉しいので」
小声で心配してくれる旦那様に、笑顔で返す。
はーい皆さーんここ見てくださーい!私達とっても仲睦まじいでしょ!?旦那様に愛されてるでしょ!?私、とっても幸せなんですー!!
と、頭の中で思っていたつもりが、ニマニマと顔に出ていたらしく、私をよく知る佐渡さんや、糸魚川さんに溜息をつかれていたことは知る由もなかった。