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呪術夢短編集

第1章 愛玩動物 (両面宿儺 R-15)


 しかし、そんな彼の必死の努力を踏みにじるのがこの男というものであった。甘えたように頭を擦り付ける小夜子の額へと口付けを落としながら、“男”の腕は少女の肉付きの良い太ももへと伸ばされていく。途端、甘えていた小夜子は体をピクリと震わせ、赤く染まっていた頬を更に赤くした。そんな乙女の柔肌の上を、つうっと“男”の指がなぞる。小夜子の唇から艶めいた吐息が溢れていくのが虎杖にも分かった。歪な形に“男”の口角が上がっていく。宿儺が反応を楽しむように、太ももの内側へと指を滑らせていけば、小夜子に掴まれた衣服の胸元がくしゃりと皺を刻んだ。
 ただの同級生の知りたくなかった生々しい雌の反応。それに一度は凪いだ心が再び粟立っていく。彼自身は止めたくて仕方ないのに、少年の体を動かす“男”がそれを愉しんでいて止めようとしていない。恐らくだが、目の前の少女のだけでなく、虎杖自身の苦悶の反応も愉しんでいるのだ。だから、行為が段々と過激に、際どいものへとなっていっているのだ。
 くそ、くそ、くそ。人の体で何勝手なことをしていやがる。今すぐ済ました宿儺の横っ面を殴り倒してやりたい衝動に駆られながら、少年は悪態とは最早言えない暴言を届かない声で零していく。途端、宿儺が邪悪に微笑むのを感じた。その笑みは膝の上で弄んでいる少女ではなく、明らかに自分に向けられているものだ。何故だかわからないが、虎杖ははっきりとそう理解した。

「今宵はここまでだ。そろそろ小僧に気付かれるやもしれんからな」

 相変わらず小夜子には穏やかな声色で宿儺はそう告げると、数度頭を撫でる。小夜子は残念そうな顔をしたが、すぐにそんな自分を恥じるように顔を隠し、こくこくと頷いた。そんな少女を抱き寄せ、男は耳元で「そう残念がるな。いずれはきちんと体の方も可愛がってやる」と低く甘い声で囁くのだ。ここで、虎杖の視界は自身の意志とは関係なくブラックアウトした。
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