第4章 Where does this ocean go?(七海)
長い接吻を終えると、小夜子はどこかぼうっとした表情が混じった笑みを浮かべる。夢見心地とでも言うべきだろうか。そんな顔のまま、彼女はもう一度海の方へと視線を投げかけていた。思わず繋いだ手に力を込めてしまう。
「この海は何処へ行くのかしら」
夕暮れの空と同じ色を瞳に湛えて、小夜子はそう呟いた。
「きっと、世界中……何処にでも行くのではないでしょうか」
彼女の独り言のような問いかけにも、七海は律儀に返す。返された言葉に、今度は小夜子が繋ぐ手に力を込めた。
「素敵。それってとてもロマンチックだわ」
きゃらきゃらと明るく笑って、小夜子は彼に向き直る。夕日を背にした彼女は、少女のように無邪気であった。
「ねえ、建人さん。私もいつか世界中、何処にでも連れて行って。この海の行き先みたいに」
小夜子のその願いは、まるで幼い子供の願いだ。曖昧で、そして果てなく大きい。だからこそ、純粋でもある。七海はそんな彼女の願いに、ふっと口元を緩めて笑い、こう返した。
「それが貴女の望みなら 長い接吻を終えると、小夜子はどこかぼうっとした表情が混じった笑みを浮かべる。夢見心地とでも言うべきだろうか。そんな顔のまま、彼女はもう一度海の方へと視線を投げかけていた。思わず繋いだ手に力を込めてしまう。
「この海は何処へ行くのかしら」
夕暮れの空と同じ色を瞳に湛えて、小夜子はそう呟いた。
「きっと、世界中……何処にでも行くのではないでしょうか」
彼女の独り言のような問いかけにも、七海は律儀に返す。返された言葉に、今度は小夜子が繋ぐ手に力を込めた。
「素敵。それってとてもロマンチックだわ」
きゃらきゃらと明るく笑って、小夜子は彼に向き直る。夕日を背にした彼女は、少女のように無邪気であった。
「ねえ、建人さん。私もいつか世界中、何処にでも連れて行って。この海の行き先みたいに」
小夜子のその願いは、まるで幼い子供の願いだ。曖昧で、そして果てなく大きい。だからこそ、純粋でもある。七海はそんな彼女の願いに、ふっと口元を緩めて笑い、こう返した。
「それが貴女の望みなら」