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呪霊に育てられた女の人生

第1章 始まり


施設には、サナちゃんと同じ私にしか見えない人達が沢山いた。その子たちもサナちゃんみたいにすぐ私と友達になってくれて、可愛がってくれた。けど、私にしか見えない存在は施設の人達には不気味に思えた様で、結局はお父さんとお母さんと同じ様に私を避けるようになって行った。

『誰もいないでしょ!?』
『ちゃん、いつも空気に向かって話してて気持ち悪い……』

 色んな差別な言葉を投げかけられた。でも、私はそれでも良かった。私にはサナちゃんがいる。呪霊の皆が居るって思えば、凄く心強かったから。

「だからはサナちゃんと一緒にいる。なんでお兄ちゃんはサナちゃんが見えるのにサナちゃんが傷付くこというの? サナちゃんが可哀想だよ」「……そっか。ごめんね、変なこと言って。でも、その子は本当に危険だと思うから、今すぐ離れた方がいいと思うんだけど……」
 言い切る前に、サナちゃんが空を切って男へと飛び掛る。だけどその攻撃は、簡単に避けられてしまった。
「サナちゃん!!」
 サナちゃんはいつもの女の子の姿からあの日の一つ目の大きな化け物へと姿を変えて、鋭い爪で男に襲いかかった。
「サナちゃん怒っちゃった。お兄ちゃんが傷付くこと言ったから……」
 私は男を襲うサナちゃんを部屋の窓から見上げながら
呟く。
「大丈夫かなぁ……」
男の人は、サナちゃんの攻撃を軽々と避け続けていた。
「……君、名前は?」
「え? ……」
「…………そっちじゃなくて、君の本当の名前」
「……? はだよ。サナちゃんが付けてくれたの。可愛いでしょ」
「(呪霊に名付けられた……?)」
 男は、何か考え込むように黙ってしまった。
その間にもサナちゃんは何度も攻撃を仕掛けていたけど、男はそれを全てかわしている。
「(この子はやっぱり……)」
「お兄ちゃん凄いね! 今まで誰もサナちゃんが食べれなかった人はいなかったのに。のお父さんとお母さんもね、サナちゃんが殺してくれたんだよ。ババーってしてバー!!ってなって凄かったんだから」
 自分の親を呪霊が殺した。その事を私はニコニコ笑顔で彼に説明する。今思えば、異様な姿だっただろうなぁと思う。
「……ちょっとごめんね」
 男がスっと手を上げる。すると、大きな光の玉が生まれ、その玉を私に向かって投げる。



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