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呪霊に育てられた女の人生

第1章 始まり


ある日、いつもの様に家に戻ってサナちゃんと自室にいる時の事だ。突然窓の外を誰かが通る気配を感じた。
「誰だろう……」
不思議に思ってカーテンを開けるとそこには
黒い服を来た男の人か立っていた。目元には何故か
包帯を巻いている。
 なんで包帯なんて巻いてるんだろう……前が見えなくて落ちたりしないのかな?
初めて見る人だったけど、どこか懐かしい雰囲気だった。
見ず知らずの、しかも何故2階の窓に続く屋根の上に立っているんだろうと色々疑問には思ったけれど、とりあえず泥棒なのかと問いかけることにした。

「お兄ちゃんだぁれ?」
 窓をあけて問い掛けた言葉に、男は一瞬驚いたようにこちらをみてニコッと人当たりのいい笑顔を見せる。
「えーっと、君ここの子?」
「うん」
男の言葉に私は大きくうなづいた。
「へえ……じゃあ、後ろにいる子も……かな?」
 男が目元を覆っていた包帯を少しずらす。包帯の下から出てきたのは、綺麗な宝石の様な目。綺麗だけれど何処と無く鋭利さを感じるその目は、私の後ろに立つサナちゃんを真っ直ぐに見つめていた。
「サナちゃんが見えるの?」
私の背後には、いつの間に現れたのかサナちゃんがいた。彼女はまるで威嚇するように目の前の男を見据えている。
「うん。バッチリ見えてるよ」
「……っすごい! 学校のお友達も先生もみえなかったのに、お兄ちゃんはサナちゃんが見えるんだね!」
 よかったねサナちゃん、と彼女を振り返る。だけど、サナちゃんは私と同じ様に喜ぶどころかお父さんとお母さんを殺した時のように、酷く冷たい目をして目の前の彼を睨んでいた。
「……ねぇ、君はどうしてその子と一緒にいるの?」
「え?」
「その子、呪霊だよ」
「知ってるよ」
呪霊とは、人の負の感情から生まれる化け物の事。
そうサナちゃんが教えてくれた。だから知ってる。
「その子、人間じゃないんだよ」
「うん」
「その子と一緒にいると危ないんだよ」
「そんな事ないよ。だってサナちゃんはを閉じ込めていたお父さんとお母さんを退治してくれたし、新しいお家の人達と違っての事だけ見てくれる」




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