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呪霊に育てられた女の人生

第1章 始まり


「……何かあったのか?」
真希ちゃんが尋ねると、彼は困ったように眉を下げる。
「それが、よくわからないんだよね」
「どういうことだ?」
「特級の呪霊だって聞いてた割には、あっさり祓えたというか。むしろあっさりしすぎてたって言うか……なんか変な感じで。でも伊地知さんに知らべてもらってもその呪霊は確かに特級だった」
 乙骨くんの説明に、その場にいた全員が首を傾げる。

「お前がただそいつより強かっただけなんじゃないのか? お前も一応特級呪術師なんだからよ」
「そう……なのかな?」
真希ちゃんの言葉に、乙骨くんは苦笑いして答える。

「まぁ何にしても怪我もせずに帰ってこれたんだから良かったんじゃないか? 下手したら今頃優太はベッドの上でうんうん唸ってたかもしれないんだしな」
 カッカッカッと笑うパンダくんに、乙骨くんは顔を青くしている。怪我しなくてよかったって言うのは私も同意だ。

「でもいいなぁ、一人で任務に行けるなんて。私も保護者なしで行ってみたい」
 ここでいう保護者っていうのは、勿論五条先生のことね。
私がそう言った途端、乙骨くんの顔色がさらに悪くなった気がした。
「……ちゃんはまだ早いと思う」
「なんで?」
「……なんでも」
なぜか頑なに拒否してくる乙骨くん。

「え〜?」
「お前は、あれだ。とりあえずその方向音痴をなおさなきゃな。呪霊を祓いに行って迷子になって、その目標の呪霊に保護されて帰ってくるとか笑い話だぜ」
「しゃけ〜」
「うぅ……」
みんなに言われ、ぐうの音も出ない。
余談だけど、その遭難中の私を助けてくれた呪霊は今……。

 
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