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呪霊に育てられた女の人生

第1章 始まり


「『君可愛いねえ〜。おじさんと遊ばない?』って言われたから『結構です』って断ったら『まあまあ、遠慮しなくていいよ』とか言われて腕掴まれそうになったの。だからサナちゃんにお願いして食べてもらった」
「……。え、食べた?」
「うん! でも殺しちゃダメな事を教えなさいって五条先生に言われたから、その後すぐに吐いてもらった」「……」
「どうしたの? 顔色悪いけど大丈夫?」
「いや……。なんでも無いよ。それより続き聞かせてくれるかな」
「うん」


両親を失った私はその後養護施設へ引き取られる事になるが、何度も脱走しては自分の家へと帰っていた。
住んでた家は持ち家で、私が親から引き継いだ財産となっていたけど顔も見た事もない親戚が一度売りに出そうとした事がある。
勿論、その抵抗の意も込めて私は何度も施設を抜け出して家に戻っていた。その度にすぐ職員が駆け付けて連れ戻されて居たけれど、私は諦めなかった。

周りは私が両親と過ごしたこの家に執着していると思っていたみたいだけど、私はそうじゃ無かったと思う。
ただあの子に会いたかっただけなんだよね。サナちゃんに……。

 サナちゃんは、脱走しては家に戻る私を初めて会った時の少女の姿でいつも迎えてくれた。
 後見人となった親戚もめげずに私の家を売り払おうとしていたけど(立地が良かったから売ったらそれなりの金額になったかららしい)それは私とサナちゃんで阻止していた。
私がこの家にはサナちゃんというお友達がいて、お家がなくなったらサナちゃんが行くとこなくなっちゃうから止めてと直談判した所、今度は幽霊屋敷と噂がたって誰もこの家に手を出そうとする人がいなくなった……。

 実際、この家を売り払おうとしていた親戚の1人が行方不明になって未だに見つかっていない。理由は……。
まぁ、そういう訳で結局は両親と暮らしていた家を手放さずにすんだのだ。
 夫婦が惨殺された家ということで、事故物件としての扱いもされていたし……。


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