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呪霊に育てられた女の人生

第1章 始まり


『どうしたの?』
「お姉ちゃんは……幽霊さんなの?」
 当時私は6歳。
まだ幼かった私は怖いものを知らずに、その不思議な存在に問いかけていた。
『ううん。私はね、呪霊っていうんだよ』
「じゅれい……」
『そう。呪霊』
呪霊と名乗った少女はにこりと笑った。
「サナ……ちゃんはどうしてここにいるの? ここ、のお部屋だよ」
『知ってるよ。でもここは私の家でもあるんだよ』
「そうなの!?︎ サナちゃんのお部屋ってどこにあるの?」
『ん〜、それは内緒! それより、ずっとここにいるよね? ご飯もたべてないでしょ。閉じ込められてるの?』
「……が悪いの。が〝キモチワルイ子〟だから出ちゃダメなんだって」
当時両親は、どちらかと言えば私に無関心だった。部屋から出さなかったら大丈夫、と本気で思っていたのだと思う。
『ふぅーん。じゃあ私が連れ出してあげる!』
そのまま手を引かれてどこかへ連れて行かれそうになる。
慌てて立ち止まって振り返ると、呪霊の少女は少し悲しそうな顔をして言った。
『あなたはここにいたらダメだよ』
「え……?」
『だって、ここにはあなたの事を虐める人しかいないもん。そんなところにいたら死んじゃうよ』
「……」
確かにその通りだった。
両親からは嫌われ、周りの大人はみんな私を化け物だと怖がっていた。そんな人達がいるところになんかいたくない。
でも……。
『ほーら! 早く行こう!』
サナちゃんは私の気持ちなんて知らないとばかりに、ぐいぐいと引っ張っていく。
「ダメなの。お部屋から出たらお父さんとお母さんに叩かれちゃう」
そう言うとサナちゃんはは困ったように笑った。
『じゃあ、こうしよう』
そう言って彼女が取り出したのは大きな包丁。
それを逆手に持って、自分の首に当てる。
「危ないよ!」
『ふふん。心配しないでいいよ』
そう言いながら包丁を横に引いた瞬間、彼女の体が真っ二つに分かれた。……ように見えた。実際は違ったらしい。
よく見るとそれは大きな口だった。ぱっくり開いたその口に飲まれたと思った瞬間。
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