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呪霊に育てられた女の人生

第1章 始まり


「しゃけ!」
「ありがとう棘くん」
そう言って、私も彼に微笑み返す。
「えへへ、見て見てサナちゃん。すっごいカッコイイ刀だよ〜」
 いいでしょ〜とブンブン振っていると、サナちゃんが不機嫌そうな顔でこちらを見た。
『扱いもわかってないのにそんなにブンブン振っちゃダメ。怪我したらどうするの?』
「う……」
正論すぎて何も言えない……。
確かに、呪具の扱い方も知らない私がこんな風に振り回していたら危ないし、下手すれば指を切り落としちゃうかも。
「だって、凄いんだもん。戻れ、って言っただけであの破片がこんな刀になっちゃったんだよ。棘くん凄いよね!」
興奮気味に話すと、彼は照れたように頬をかいて俯く。
「……高菜」
『そんなの、なら簡単に出来るわ。記憶を取り戻せば……』
「え?」
『なんでもない。とりあえず、これはお姉ちゃんが預かります』
 パッと私の手から刀を取り上げる。
「あ! ひどいサナちゃん。私が貰ったんだよ」
『ダメ。使い方を覚えるまで触っちゃダメ』
「むぅ〜……」
「サナって、ほんと呪霊に見えないよな」
 私とサナちゃんのやり取りを眺めていた真希ちゃんが、ポソリと呟く。
「気配は呪霊なのに、見た目は普通の人間だから違和感あるぜ。とのやり取りもなんかほんとに姉妹みたいだし」
「しゃけ」
 姉妹かぁ。言われてみると、本当にそんな感じだなと思う。
一人になってからはいつも一緒にいるし。
「姉妹ってなると、私とサナちゃんどっちがお姉ちゃんになるんだろうね?」
『私でしょ。私はより何百歳も上だもの』
「でも今は私の方が大人っぽいよ。サナちゃんは中学生……くらい? 私は高校生だし。ほら、大人」

『中身の話よ。外見じゃない』
「んー? じゃあどっちかっていうと……」
『なに?』
「私かな?」
『なんで!?』
「だって、私の方が背が高いし」
『そういう問題じゃなくて!』
ぷりぷりと怒るサナちゃんにあははと笑っていた時だった。

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