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呪霊に育てられた女の人生

第1章 始まり


真希ちゃんの言葉に項垂れつつ、散らばった鉄屑を集める。結構割っちゃったけど、これって凄く高い物なのかな。
賠償請求とかされたらお小遣いで足りるかな……。

私の生活費は、あの家を売ったお金で賄っていた。一度後見人となった母方の叔母が管理をしてくれていたんだけど、叔父の使い込みが発覚してからは五条先生が管理をしてくれていた。
 聞くまでもなく、その叔父は行方不明のままだ。どこいったんだろ?
 まぁ私の想像があってるなら、今頃サナちゃんのお腹の中かな。
そんな事を考えながら、五条先生、と耳打ちする。

「なに?」
「これってすっごく高い物ですか? 私のお小遣いで弁償できるかな……」「ああ、それ? 別に気にしなくても良いよ。元々練習用のだし」
「そうなんですけど……」
「それに、サナに壊されるのは想定してたしね」
「え!?」
「あわよくば使えるのが見つかればいいなとは思っていたけど、まさか全部壊れるとは思わなかった」
ははは!と笑うと、真希さんが「笑い事じゃねえぞ」と溜息をつく。
「これいくらしたんだよ」
「さー?」
「さーじゃねえだろ」
「大丈夫大丈夫、経費で落としてもらうから」
「ほんとお前って……」
「あはは〜」
2人の会話を聞きながら、私は砕けた刃の破片を拾い集める。
やっぱりちょっと勿体無いかも。折角買ってきたのに……と残念な気持ちになっていると、棘くんと目が合った。
「おかか」
「なに?」
「しゃけ」
 言いながら掌を差し出してくる。
「この破片が欲しいの?」
「すじこ」
「じゃああげる。手を切るから気をつけてね?」
「ツナマヨ〜」
 棘くんは破片を受け取ると、ギュッと掌で包み込んだ。そして襟をめくると

『戻れ』
 と、小さく呟いた。
すると彼の手のひらに収まっていた欠片たちが光り、一振の刀になったのだ。
わあっ!! 思わず声を上げてしまった私を見て、「ツナマヨー」と言いながら得意げにしている。
「凄い!!」
「しゃけ〜」
褒められて嬉しかったのか、ニコニコしながら私を見つめてくる。そしてその刀の柄を私に握らせて

『この刀は折れない。絶対に折れない』

 そう、刀に言霊を込めてくれる。それを見ていたパンダくんが、ヒュウっと口笛を吹いて

「狗巻の言霊入りの刀か。こりゃ最強だな」

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