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呪霊に育てられた女の人生

第1章 始まり


「どうすんだよ五条。これじゃが使い物にならねえじゃん」
「うーん、そうだねぇ」
「そもそもに武器は必要なのか?」
 パンダくんが顎に手を当てながら、私を見つめる。
「が呪霊に攻撃される姿が想像出来ない」
「しゃけ」
棘くんまで同調し、2人揃ってウンウンと納得するようにうなづく。
「だって今まで一度も任務の時呪霊に狙われた事ないだろ?」
「確かに……」
「任務に出ても、殆どの呪霊を手懐けて祓いもせずに連れて帰ってくるし」

「ツナマヨ〜」
「だって皆が私と一緒に居たいっていうから……じゃあ一緒にお家に帰る?って聞いたら、うんって言うから……」
「だからと言って、連れ帰って来る呪霊の数が多すぎるだろ」
「高菜……」
「で、でも私もちゃんとお仕事してるもん!」
「例えば?」
「えっと……」

思い返してみるけど、あまり良い思い出が無い。
そういえばこの間の任務では山奥に迷い込んだ子供を探しに行ったんだけど……。その子は無事見つかったものの、帰り道が分からなくなって結局私が迷子になってしまった。しかも夜中だったから、辺り一面真っ暗。怖くて泣きそうになりながらも歩いていたら、その山にいた呪霊の皆が山の外まで連れてってくれたんだっけ。あの時は本当に助かった。
他にもあれとかこれも……と思い返してみると結構ある気がするけど、どれも大したことは無いような……?
「……」
黙り込んでしまった私を見て、3人が顔を合わせて肩をすくめる。
「ほ、ほら。私が呪霊の皆を連れて帰れば誰も怪我しなくて済むし、任務もすぐ終わるでしょ?」
「まあそれはそうだな」
「しゃけ」
「皆いい子たちばかりだから、ここに連れて帰ってきても迷惑かけたりしないし。今までだって一度もないでしょ?」
 ね?ね?と必死に訴えかけると、「まあそうだな」と真希ちゃんが呟く。


「お前の部屋だけ凄い陰の気が立ち込めてはいるけど」
「う……」
痛いところをつかれて言葉に詰まる。
「み、皆には部屋から勝手に出ちゃダメだよ言ってあるから……多分、うん。きっと大丈夫だよ。皆、私が嫌って言うこと絶対しないから」
と慌てて取り繕うと、真希ちゃんは呆れたように目を細めた。
「まあ、呪具の扱い方はまた今度でいいか。とりあえず今日はもうやめようぜ」
「うん……」



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