第9章 こんにちは赤ちゃん【暖和】
「こっちは、胡蝶先生と胡蝶がくれたものだな!俺が開けても良いだろうか?」
「どうぞ開けてください」
「あ!杏寿郎さん!丁寧に!丁寧に開けてくださいね」
「任せろ!」
杏寿郎さんは私がお願いした通り、丁寧に紙袋から箱を取り出し、私がしたのと同じように慎重に包装紙を剥がしてくれた。
中から出てきたのは、沢山のベビー用品達で、ストローマグ、赤ちゃん用の食器、エプロン、おもちゃ等でどれもこれもセンスが良く2人がたくさん考えて選んでくれたことが伝わってきた。
「こんなにも沢山選んでくれたのか!」
「今すぐには必要ないけど、きっとそのうち使うものを選んでみたのよ」
「こういった類のものはあっても邪魔になりませんからね。時が来たら是非使ってください」
「かわいいものばっかり…ありがとうございます!」
私は再びカナエさんとしのぶさんからもらったそれらを手に持ち、奏寿郎の隣にどんどんと並べていった。
「見て見て奏寿郎!」
「寝ているがな!」
そんなことは承知の上だ。
「綺麗なお姉さん達がこんなに沢山くれたのよ!使うのが楽しみねぇ」
奏寿郎の口がまるで私の言葉に反応してくれたかのようにムニャムニャとと動き、私の心はさらに弾んだのだった。
頂いたお祝いをありがたく開けた後、
"俺がいない方が話がしやすいだろう"
と言って、杏寿郎さんは居間の方へと行ってしまった。
「すずねさんも、煉獄先生も、すっかりと親の顔になりましたね」
「そうですか?自分では…あまり分かりませんが。でも杏寿郎さんは、本当に、物凄く、奏寿郎が可愛くて仕方ないみたいで」
昼時になると必ず
"奏寿郎の写真を送ってほしい"
と連絡が来る。必ずだ。
「それこそ、私が嫉妬しそうになる程に」
と、言うのは冗談だが。
「やだ!すずねちゃんってばかわいい!」
そんな私の発言にカナエさんがクスクスと笑っており、しのぶさん、蜜璃ちゃん、そして私の視線がカナエさんへと集まった。
「姉さん?何をそんなに笑ってるの?」
「ふふっ…似たもの夫婦だなぁと思ってね」
「「似たもの夫婦?」」
蜜璃ちゃんと私の声がきれいに重なる。