第46章 このまま猫になりたい✳︎不死川さん※裏表現有
そんな私の様子に満足そうに笑っている師範の一方で
……尻尾の付け根を撫でられてるだけなのに…なんでこんなに気持ちがいいの?…っ…というかこの気持ちよさはまるで……
愛撫されてるみたい
そんな志向に至ってしまう。
”ここから逃げなくちゃ”と頭ではわかっているはずなのに、猫になり理性よりも本能が上回ってしまっていると思われる私は、もっとして欲しいと言わんばかりに、にゃぁにゃぁと高く鳴きながら師範の指にお尻を擦り付けてしまっていた。
………こんなの…逃げるなんて無理…むしろもっと…触って欲しい!
そう思った直後。私の身体にビリっと全身の毛が逆立つような感覚が走り
ボフンッ
「っなんだァ!?!?」
辺りが真っ白な煙で包まれた。
白煙の向こうからゲホゲホと咳をする師範の声が聞こえ、そこにまだ師範がいることは理解できていた。スラリと伸びて行く四肢の感覚に、私の猫の姿だったそれが、人間へと戻り始めていることも同じように理解できた。
その2つが理解できている今、本来であれば私は一刻も早くこの場から去らなければならない。
けれども、上手く力の入らない下半身、それから半分蕩けた私の思考回路では、どうしてもそうする気が起きてはくれなかった。
そうこうしている間に白煙はどんどん薄くなり
パチリ
と、師範の三白眼と視線がかち合った。
「…柏木テメェ…またしょうもない血鬼術にかかりやがったなァ?」
たったそれだけで全てを理解したと思われる師範の地を這うような低い声が聞こえてきたが、正直に言って私は全くそれどころではない。
…っ…下半身が…ウズウズする…
そして師範も、そんな私の様子にすぐさま気がついたのか
「……っ!」
大きく見開いた三白眼を、私の顔から下半身へと移した。
「…っ…にゃ…恥ずかしいから…そんな風に見にゃいでください…!」
とろとろと蜜が伝い落ちてくるソコを隠しながら師範にそうお願いした私だが、所々猫語が抜けていない自分自身に驚き
「…にゃ…にゃんでぇ?」
半ば混乱状態に陥ってしまう。
そんな私に反し、前回布団から私を追い出した時のあの慌て具合が嘘のように落ち着いた様子の師範が
スッと
私の頭頂部へと腕を伸ばして来た。