第44章 雨上がり種植えつけられる✳︎煉獄さん※裏表現有
それでも、一度箱から出してしまった気持ちは、そう簡単には収まってはくれず
「…私には、そんなお2人の姿が、活動写真に出てくる主人公のように似合いに見えてたんです」
私は、杏寿郎さんがすっかりと黙り込んでしまったにも関わらず、喋り続けた。
「もちろん、杏寿郎さんが蜜璃ちゃんの事をそんな目で見ていないことも、蜜璃ちゃんが、杏寿郎さんの事をそんな目で見ていないこともわかっています。……でも…蜜璃ちゃんと比べたら、私の貧相な身体なんて……っ!?」
言葉続きは、杏寿郎さんに強く抱きしめられたことで紡ぐことが出来なかった。
ぎゅーっと強く抱きしめられ
「…っ…杏寿郎…さ…苦し…」
私は思わず、苦しさを訴えてしまう。
すると杏寿郎さんは、私を抱きしめていた力をフッと抜き、私の肩口に埋めていた顔を上げた。
「……え?」
思わずそんな声を上げてしまったのは
「…何故…そのような顔をしているのでしょうか…?」
杏寿郎さんが、酷く嬉しそうな顔をしながら私のそれを見ていたからである。
……杏寿郎さん…どうして嬉しそうな顔をしているの…?……私…杏寿郎さんが喜ぶような話…したかしら…?
頭を疑問符だらけにしたまま、杏寿郎さんをじっと見ていると
「…すずね」
と、なにやら興奮した声色で名前を呼ばれた。
私は
「…はい」
と、返事をしながら、杏寿郎さんの欲を孕んだ瞳をじっと見つめ返す。
すると杏寿郎さんは
「…んむ!?」
ちゅ…ちぅ…ちゅる
と、深い深い口付けを落として来た。
舌を絡め取られ
口内を舐めまわされ
「…ん…ふぅ…」
私の口の端から、互いの混ざり合った唾液がツーっと流れ落ちる。
杏寿郎さんは一旦満足したのか
ちぅっ
と音を立て、私のくちびるを解放してくれた。
それから、蕩けてしまいそうなほどの熱い瞳で私をジッと見つめ
「君は、何故そんなにも可愛いんだ?俺をこんなにも夢中にさせて、どうするつもりなんだ?」
こちらがむず痒くなってしまいそうな問いを、投げかけて来た。