第44章 雨上がり種植えつけられる✳︎煉獄さん※裏表現有
全てを乱し終えた杏寿郎さんが、私の身体に覆いかぶさったその時
”いけない!”
「…っ!」
先程縁側で目にした光景が、鮮明によみがえってきた。
豊満な乳房
すらりと伸びた手足
きめ細かな肌
そのどれも、自分と比べるのが恥ずかし程魅力的なもので
……っ…やだ…こんな身体…見られるのが恥ずかしい
と、思ってしまい、身体が強張った。
「…どうかしたか?」
洞察力に優れた杏寿郎さんが、そんな私の変化に気がつかないわけがなく、剣蛸で固くなった指の腹で、私の額を優しく撫でてくれた。
蜜璃ちゃんと自分の身体を比べて恥ずかしくなった
杏寿郎さんが蜜璃ちゃんに非意図的であれ
覆い被さった姿を思い出して心が苦しくなった
……そんなこと…言えるはずがありません
そう思ったのだが
「どうかしたか?何かあるなら…どんな事でもいい。俺に話してはくれないか?」
大好きな杏寿郎さんの瞳にじっと見つめられ
…っ…だめよ…ここできちんと自分の気持ちを伝えなければ…前の私に逆戻りしてしまう……大丈夫…杏寿郎さんは…どんな私も…きっと受け止めてくれるもの
私は心の奥にしまい込みそうになった感情を、元の位置に戻した。
それでも、自分の醜い部分を曝け出すのは、とても勇気が必要で
「……呆れたり…しませんか?」
私は、眼前にある杏寿郎さんの顔を、恐る恐る見つめながらそう尋ねる。すると
「もちろんだ!俺は君を心より愛している!故にどんな君でも受け止められる自信がある!」
杏寿郎さんは、自信満々にそう答えた。
そんな様子に、私の強張っていた身体からフッと力が抜けた。
「……杏寿郎さん」
「なんだ?」
杏寿郎さんは、話の続きを促すように、私の額に触れていた手を左頬へと移動し、大きな手のひらで、そこを覆うように触れて来た。
「…先程杏寿郎さん、蜜璃ちゃんの身体が見えないように覆い被さったでしょう?」
「あぁ」
「…アクシデントだって言うことは理解しているのですが…あの時の杏寿郎さん…まるで…蜜璃ちゃんを組み敷いているように見えてしまって…」
私がそう言うと
「っ!?」
…あらまぁ…瞳が落っこちてしまいそう
杏寿郎さんは、それ以上は無理だろうと思ってしまう程、その目を大きく見開いた。