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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第44章 雨上がり種植えつけられる✳︎煉獄さん※裏表現有


「……大人を何も出来ない子どもに変えてしまうなんて…鬼とは本当に恐ろしい生き物です」

「うむ。胡蝶から、甘露寺にたくさん日光浴をさせるように言われている。それが済んだらすずねも一緒に縁側に行こう」

「丁度、終わったところですよ」


私は、濡れた手を布巾で拭き


「それじゃあ、行きましょうか」

「…ん」


蜜璃ちゃんの紅葉のような手を軽く握り、一緒に歩き始めた。






















陽の当たる縁側に私と杏寿郎さんは並んで座った。そんな私の膝の上には蜜璃ちゃんがちょこんと乗っており


「…眠かったら、眠っていいですからね?」


お腹がいっぱいになり眠気が押し寄せて来たのか

……カクン……カクン

と船をこぎ始めた。


「ほら。こちらに来るといい」


杏寿郎さんは自分の方が安定感があると思ったのか、船をこぐ蜜璃ちゃんを受け取ろうと、両腕を広げ蜜璃ちゃんを呼び寄せようと試みる。けれども


「…んやぁ」


蜜璃ちゃんは、私に背を預けるようにしていた身体をくるりと反転し


「…む」「あらあら」


私の胸辺りに顔を埋め、ギュッと抱き着いた。

そんな行動に


……かわいいなぁ


私の頬はひたすら緩んでしまう。

一方で


「……むぅ」


杏寿郎さんは、なにやら不満そうに唸っていた。

私は、かつて下の子にそうしてあげたように、蜜璃ちゃんの小さな背中をトントンと優しく叩いてあげながら


「…ふふふ…羨ましいですか?」


杏寿郎さんに、自慢げにそう尋ねた。すると


「うむ」


杏寿郎さんが間髪入れずにそう答え、更に


「俺のすずねが、甘露寺に取られてしまったな」


なんてことを言いながら、私と、もう間もなく寝入ってしまいそうな蜜璃ちゃんの頭を優しい手つきで撫でた。

可愛い杏寿郎さんの嫉妬心に


「あらまぁそちらでしたか」


先程以上に頬を緩ませながら、斜め上にある杏寿郎さんの顔を見つめると


「俺は存外嫉妬深いようだ」


杏寿郎さんはそう言って、私の額にチュッと軽く口づけた。

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