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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第44章 雨上がり種植えつけられる✳︎煉獄さん※裏表現有


騒がしくも楽しい食事を終え、空になった食器を片付けてしまおうとお盆にまとめる。それから立ち上がり、台所へと向かおうとすると

トテトテトテ

蜜璃ちゃんが、先ほどと同じように、私の後を追いかけて来た。その様子を可愛いなと思っていた私だが


「甘露寺」


杏寿郎さんが、そんな蜜璃ちゃんを優しい声色で呼び止めた。

蜜璃ちゃんは、ピタリとその小さな足を止め、首だけを杏寿郎さんの方へと向ける。


「すずねは今から台所で片付けをしなければならない。甘露寺は、俺と共に縁側で日光浴をしよう」


両腕を広げ、己の腕の中に蜜璃ちゃんを誘い込もうとした杏寿郎さんだったが


「……や…」


蜜璃ちゃんは首を左右に振り、"拒否"の意を示した。それからやはり私の方へと駆け寄ってくると、遠慮がちに私の着物の端をギュッと掴んだ。

杏寿郎さんはそんな蜜璃ちゃんの様子に


「残念!やはり俺よりもすずねの方がいいか!」


"残念"と言いながらも、とても楽しそうな表情をしながらそう言った。もちろん、蜜璃ちゃんにくっ付かれた私の方も


「…ふふ…良いですよ。私は全く構わないので、私と一緒に来たければ、遠慮なく来てくださいな」


その様子が、大層可愛くて、頬がこれでもかというほど緩んでしまう。

ゆっくりと歩き出す私と、そんな私にピッタリとくっついて歩く蜜璃ちゃん。そして


「俺だけ1人というのは何やら寂しいな…よし!俺もそちらに行く!そして片付けを終えたら、3人で日光浴をしよう!」


杏寿郎さんも、そう言いながら私と蜜璃ちゃんの後に続いてやってきた。


「2人ともすみませんね。急ぎますので、少々お待ちくださいな」


お盆にのせ運んできたお皿や湯呑みを水場におろし、何ものっていない状態になったおそれを、いつも立てかけている場所に片付ける。それから蛇口を捻り、水を出すと、お皿についた汚れをタワシで洗い始めた。


「洗いながらで構わないから聞いてくれ」

「はい」


私は手を止めることなく、耳だけを杏寿郎さんの方へと傾けた。

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