第44章 雨上がり種植えつけられる✳︎煉獄さん※裏表現有
杏寿郎さんには申し訳ないが、蜜璃ちゃんの安全を優先させてもらい、火を使わない簡易的な食事を用意させてもらうことにした。
杏寿郎さんの大好物のさつまいもの炊き込みご飯をおにぎりにしていると
ぐぅ~
と控えめな、けれども幼子にしては立派なお腹の音が足元から聞こえてきた。
おにぎりを握りながら足元へと視線を移すと
「………!」
目をキラキラと輝かせた蜜璃ちゃんが私の事を…もとい、さつまいもの炊き込みおにぎりをじっと見つめていた。
「…ふふっ」
私は、ササっと杏寿郎さんのために握っていたおにぎりを握ってしまい、ゴロゴロとしたさつまいもの1つを小さく砕いた後、杏寿郎さんが食べる大きさの1/10程度のものを握ってあげた。
「どうぞ。召し上がってみますか?」
蜜璃ちゃんに、握ったおにぎりを差し出してあげると
「…ん!」
満面の笑みを浮かべ、それを受け取ってくれた。
「ゆっくり食べて下さ……!?」
言おうとしていた事を全て言い終える前に、蜜璃ちゃんはペロリとお握りを食べ終え
「……もっと…」
可愛い顔でお代わりを催促してきた。もちろん私はその可愛い要求に尻尾を振って従い
「はいどうぞ」
先ほどよりも大きめのおにぎりを握ってあげ
「落とさないように、そこで座って食べようか」
と、さりげなく隣の部屋の入口付近に座るよう促す。けれども蜜璃ちゃんは、そちらに向かうのではなく、私の足元にポスンと座りこみ、おにぎりを頬張り始めた。
…床が汚れているわけじゃないし…まぁいいか
台所に座り込みながら私の握ったおにぎりを食べている蜜璃ちゃんは、もうどうしようもなく可愛くて、そんな姿を愛で、追加のおにぎりを何度もこさえながら、杏寿郎さんの食事の準備を続けた。
「随分と可愛いおにぎりを食べているな」
そうこうしている間に、杏寿郎さんが湯浴みから出てきてしまい
「…っすみません!あとは運べば済みますので、あちらで掛けてお待ちになっていてください」
私は大慌てで握ったおにぎりをお皿に並べていく。