第44章 雨上がり種植えつけられる✳︎煉獄さん※裏表現有
「ふふふ…わかりました。たぁくさん準備しておきますよ」
「うむ!」
私の肩を抱く杏寿郎さん。それから、私の腕に抱かれているかわいいかわいい蜜璃ちゃんと、3人仲良く炎柱邸の門をくぐった。
その後、杏寿郎さんに着流しを渡すと
「さぁ。台所にいきましょうねぇ」
私の首にギュッと腕を回している(若干苦しい気はするが、こんなにかわいい蜜璃ちゃんになら首を少し締められようと全然平気よ!)蜜璃ちゃんを抱き、台所へと向かった。
台所に着いてはたと気が付く。
…刃物もあるし…火も使うし…蜜璃ちゃんを台所にいさせるわけにはいかないか…
そう思い至った私は、台所のすぐ隣の部屋に蜜璃ちゃんを降ろした。すると蜜璃ちゃんは、不安げな表情を浮かべ、私の顔をじっと見てきた。
「蜜璃ちゃんごめんね。私、これから杏寿郎さん…さっきのお兄ちゃんのご飯を作らないといけないの。だから悪いんだけど、ここで少し待っててくれるかな?」
「……?」
私の言ったことをいまいち理解していないようで、蜜璃ちゃんは首をコテンと傾けた。
……っ…かわいい…!
あまりの可愛い仕草に苦しさを覚え、私は思わずギュッと自分の胸の辺りを掴む。
……こんなことをしている場合じゃないわ。はやく食事の準備をして差し上げないと、杏寿郎さんのお腹と背中がくっついてしまう
煩悩を払うように頭を左右に振り”待っててくださいね”と蜜璃ちゃんの頭をひと撫でし、台所に戻ろうと歩き始めた。始めたのだが
トテトテトテ
蜜璃ちゃんは、親ガモについてくる小ガモの如く、私の後を着いてくる。
そんな可愛い様子を止めることなど、私に出来るはずもなく
「…やっぱり一緒にいましょうね」
降ろしたはずの蜜璃ちゃんを再び抱きかかえ、台所へと戻るのだった。
幸い蜜璃ちゃんは、初めて足を踏み入れた場所に緊張していたのか、私が包丁を使うため一旦下に降ろしても、私の足にがっしりと掴まっており、動き回るようなことはなかった。