第8章 炎の音に包まれて【音好きシリーズ】※裏表現有
あの後、炎柱様と別れた私はすぐさま天元さんに
"条件を達成したので私も連れていってください"
と文を添え、鴉を飛ばした。
そして飛ばしてから気が付いた。
条件を達成したって…もうそれって、抱いてもらいました、って報告してるのと一緒…だよね…?今更だけど…
「…っ恥ずかしい…!」
私は、自分の頬に手を当て思わずその場にしゃがみ込んだのたった。
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虹丸に呼ばれ、音柱邸に到着した私の顔を見るや否や
「お前の報告に嘘はないようだな」
「…へ?」
天元さんはそう言った。
「…どういう…意味です?」
嫌な予感が胸を過ぎる。
「お前の報告が、嘘の可能性もあるからな!煉獄に直接確認させてもらった」
それはつまり。
「まさかお前が、須磨からあの薬をもらってたとはなぁ。ま、良かったじゃねえか。好いた相手に抱かれて、恋仲にもなったんだろ?全てはこの派手派手な俺様のお陰だ!」
天元さんはニヤニヤと笑いながら私を見ている。
「…っ…炎柱様には…どこまで…?」
「あ?お前が煉獄を蕎麦屋に連れ込んで精力剤を飲ませてそれから…「っもういいです!黙ってください!」お前が聞いたんだろうが」
天元さんは完全に楽しんでいた。けれども、次の瞬間には真剣な表情に変わり
「で、本当に行くんだな?」
と私の目を見据えそう言った。
「…はい。気持ちは変わりません」
「煉獄も承知してんのか?」
「はい」
話は私と炎柱様が蕎麦屋を出た頃まで遡る。
「恋仲にはなりました…でも、遊郭には行きます」
炎柱様の事を裏切るような事はもちろんしたくはない。けれども、それとは別次元で、私にとって3人の存在は大切だった。
「わかっている。君の任務の邪魔をするつもりはない。だが心配はいらない!俺には君の身体を守る策がある。安心すると良い!」
「"策"とはいったい?」
「それは秘密だ!」
「…そうですか」
あまりにも自信あり気にそう言うものだから、
炎柱様がそう言うのであれば問題はないか
と、それ以上追求する事はしなかった。
そんなやり取りが私と炎柱様の様の間で行われたのだ。
「ほぉ。まぁ、お前らが決めた事だ。俺が口を出すことでもないな。それで、準備は出来てるか?」