第43章 水着と下着、その差はいかなるものか✳︎【暖和】※微裏有
「こうして水…正確には湯だな。湯につかっている姿を見れば、君が身に着けているものが”水着”であることは理解できる。だが先ほど、あの場でこの姿を目にした際は、下着姿に見えた」
杏寿郎さんは、水着のレース部分から手を離すと、私の首の後ろ、リボン結びになっている紐をいじくり始めた。
「君のことだ。てっきりワンピースタイプか、ショートパンツのような水着を着てくるのかと思っていたが…よもや白ビキニときた」
「…っ…杏寿郎さん…そんなにいじられると…ほどけてしまいます…!」
「そうだろう?下着姿とそう変わりない、危険な水着を身に着けている君の姿を他の男も目にする…そんなこと、俺には耐えられない」
杏寿郎さんはまるで非難するようにそう言った後、水着の紐部分に人差し指を差し入れ軽く引っ張った。それから
パチン
「……っん」
わざと音を立てるようにしながらそこから指を離した。
……やだ…思わず…変な声が出ちゃった…!
私は今、杏寿郎さんに叱られているというのに、なんだかものすごく卑猥な気持ちになっていた。なんとか気を紛らわせようとしていた私だが
「しかもだ」
杏寿郎さんの”お叱り”という名の攻めは続くようで
「…っ…杏寿郎さん…!」
杏寿郎さんの右手中指が、私の普段よりも盛に盛られた胸の谷間をツーっと撫でた。
慌てふためく私の様子など、杏寿郎さんは全く気にしていないようで
「ここをこのように強調して…男であればどうしたって目が行ってしまうに決まっているだろう?」
そう言った後、今度は人差し指でフニフニとつつき始めた。
……っ…こんなことになるなんて…想定外も甚だしすぎる…!
羞恥と、それから胸の奥からジワリとせり上がってくるような興奮に、私は早速どうしていいかわからなくなっていた。
杏寿郎さんは最後のおまけと言わんばかりに私の左耳に唇を寄せると
「君のここを見ていいのは…俺だけのはずだろう?」
甘く、脳を揺らしてきそうな声で囁いて来た。
そんな風に言われてしまえば、私の答えはひとつ。
「……はい」
その2語のみ。