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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第43章 水着と下着、その差はいかなるものか✳︎【暖和】※微裏有


「はい」


そんな杏寿郎さんの笑顔につられるように、私の口角も自然と上がってしまう。

その時

ぐぅぅぅぅ~

すぐ隣にある杏寿郎さんのお腹から、部屋のどこにいても聞こえて来そうなほど大きな音が聞こえて来た。


「わはは!食べ物の話をしていたら腹が空いてしまった!」


杏寿郎さんはそう言いながら私の腰に回していた手を移動させ、何故か私のお腹を撫でて来た。

時計を見るとちょうど5時15分になったところで、ビュッフェディナーが始まる時間まであと15分。


「少し早めですがご飯を食べに行きましょうか」

「そうだな!後で腹が空いてしまったらルームサービスを頼めば済む!」

「それはそれで楽しいですからね」


私はそう言いながら、私のお腹を依然として撫で続けている杏寿郎さんの手に手を絡めた。


「それじゃあ行きましょうか」

「うむ!」


杏寿郎さんはビュッフェディナーがよっぽど楽しみなのか、少年のようにかわいい笑みを浮かべていた。そんな表情に私の胸はいつもの如く

きゅん

と、甘い甘い音を奏でたのだった。














まだ5時半ということもあり、ビュッフェ会場には私達を含め4組ほどしかおらず、のんびりと食べることが出来た。もちろんのんびりと食べていたのは私だけで、杏寿郎さんは常識の範囲内で(ここ大事!)たくさん食べ、ビュッフェに並べられた全種類を制覇したそうだ。

私がお皿に残った残り3口分程度のカボチャプリンを口へ運ぼうとしたその時

じぃぃぃぃっ

と、正面に座る杏寿郎さんから猛烈な視線を感じた。開きかけていた口を一旦閉じ閉じ


「食べたいんですか?まだ時間もありますし、取ってきたらどうです?とって美味しいですよ」


と、声を掛けてみた。すると杏寿郎さんは


「確かにプリンが食べたい。だが俺が食べたいのは、ただのカボチャプリンではなく、すずねが今食べているそのプリンだ」


私が手に持っているスプーンに視線を向けながらそう言った。


「…これ…ですか?」

「うむ!それだ!」


ビュッフェ用のそれなので、元々そこまで大きなサイズのプリンではない。杏寿郎さんほどの胃袋の持ち主が、この程度食べられないとは到底思えない。

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