第8章 炎の音に包まれて【音好きシリーズ】※裏表現有
結局その後も2回、炎柱様は私の中でその欲を吐き出した。
初めての情交で結局3回ことを致し、終わった頃には私は痛みと疲れでぐったりと起き上がれなくなっていた。炎柱様はといえば穏やかな顔で、私の身体を強く抱きしめながらその意志の強い瞳を閉じている。
それでも、いつまでもここで寝転がっているわけにはいかない。
私は手で胸元を隠しながら起き上が…ろうとしたものの
「…炎柱様。腕を、離してください」
「断る」
炎柱様の屈強な腕が、私を離してはくれない。
「あまりゆっくりしてると…お店に迷惑ですから」
「心配ない。店主には多めに代金を渡してある。好きなだけいて良いとのことだ」
「…いつの間に…」
ニコリと微笑み私を見る炎柱様は、先程までの野生的な目力が嘘のように優しく、穏やかな目で私を見ていた。
ふと目に入った炎柱様の腕にはたくさんの傷跡があり、必死すぎて気が付かなかったが、その身体にもたくさんの傷跡があった。思わずその中の1番大きな傷跡に手を伸ばし、スッと優しく手で触れる。すると炎柱様も
「君の身体も…傷だらけだな。だか、美しい」
と言いながら、私の肩にある大きな傷跡を優しく撫でた。
その手がまるで
この傷すらも愛おしい
とそう言っている気がして、私の胸はキュッと甘く締め付けられる。
「さて。はっきりさせておく必要がある。君は俺を受け入れた。今日から君と俺は恋仲になった。間違いはないな?」
その言い方は私に問いかけている形ではあるものの、有無を言わせない威圧感を含んでいる。
「…確かに私は、炎柱様の事が…好きです。それは認めます。…でも恋仲になるとは…言っていません」
「やはり…そう言うと思った!だがその主張は受け入れかねる!何故君はそんなにも片意地を張る?俺が相手ではそんなに不満か?」
炎柱様はその言葉と共に、グッと私の顔にその端正な顔を近づける。
「…不満とか…そんなんじゃありません!私は…っ…私じゃ…炎柱様に…相応しくないんですっ!」
叫ぶように吐いたその言葉は、果たして炎柱様に向けたものか。溢れ出てしまった気持ちを抑えきれない自分に向けたものなのか。
…もう…わからない。
離してもらえないならと、せめてもの抵抗で自分の顔を掌で覆った。