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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第42章 推すのに忙しい私を押してこないで*煉獄さん


食事を作る事しか能がない私が男性2人に勝てるはずもなく、人気のない路地裏に連れて行かれそうになっていたところを助けてくれたのが蛇柱様だった。

まさかの助けに驚き目を丸くする私に

”お前の為じゃない。お前に何かあれば甘露寺が悲しむだろう”

蛇柱様は初対面と同じくネチネチとイヤミったらしい口調で言った。けれども、その言葉の裏側に隠れる蛇柱様の蜜璃様へのお気持ちが、私にははっきりと見えた。

私は思わず

”蛇柱様は…蜜璃様のどこがお好きなのですか?”

と、尋ねてしまった。もちろん蛇柱様は私の投げかけた質問に眉を顰め

”貴様に教える義理はない。…だがこれだけは言っておく。貴様は随分と甘露寺を慕っているようだが、甘露寺のことを最も想っているのはこの俺だ”

私の顔を人差し指で指差しながらそう言うと、サッと背を向け歩いて行ってしまった。

遠のいていく縞模様の羽織をジッと見つめ


蜜璃様にあんなにも幸せな表情をさせ、強くて優しい蜜璃様を守れる蜜璃様よりも強いお方……蛇柱様しかいない!!!


そんな確信めいた気持ちを抱き、歓喜に震えていた。

そして私は

蜜璃様と蛇柱様の恋を応援し隊

の会員第1号となり、2人の恋の動向をやきもきしながら見守ることを生きがいの一つとさせてもらったのだ(ちなみに会員第2号はまだいない)(目下募集中です。そこのあなたどうですか?)。





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とまぁそんな経緯があり、こうして2人の恋を遠くから見守らせていただいているわけだ。


「っやだ!2人とも手がちょっと触れ合っただけであんなに頬を赤く染めちゃって……尊い!」

「尊いとは何がだ?」

「蜜璃様と蛇柱様お2人のことに決まってるじゃないですか!何当たり前のこと聞いて……ん?」


はて私は一体誰と会話を交わしているのだろう


覗き込んでいた双眼鏡からバッと顔を離し、声のした方向、つまり自分の斜め後ろを見てみると


「…っ…れ…煉獄様…!!!」


視界に映り込んだのは、蜜璃様の元師範であり、蜜璃様が慕っているお方の1人である煉獄様のお姿が。

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