第41章 今世の私も、余す事なくもらってください✳︎不死川さん※微裏有
そんな私の様子に
「…仕方ねェなぁ。こっちも遅くなるかもしれねェが、それでもよけりゃ行ってやるよ」
実弥さんは、そのぶっきらぼうな言葉とは反する優しい瞳で私のことをじっと見つめてくれた。
「…ありがとうございます!実弥さん大好きっ!」
そう言いながら何も身に纏っていない、大好きな匂いのする実弥さんの熱い胸板に頬を寄せた。
「へいへい。お前は本当にそればっかだなァ」
実弥さんはそう言いながらグチャッと端っこに追いやられていた掛け布団をサッと広げ
「そろそろ寝るぞォ」
「はい」
私にしっかりと布団が掛かるように整えてくれた。
私を思い遣ってくれる行動のひとつひとつが嬉しくて、私はピッタリと隙間なく実弥さんに身体をくっつけた。
「……寝にきィんだよ」
「それは実弥さんの気のせいです」
「…そうかよォ」
諦めたような声色でそう言った実弥さんは、頭上にある電気のスイッチを押し、薄暗かった部屋を完全に暗くした。
「おやすみなさい実弥さん」
「…あぁ。おやすみ」
私と実弥さんは互いの素肌から感じる体温を感じながら眠りに落ちたのだった。
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それから迎えた金曜日の夜。
同じ会社の人と親睦を深めるためのいい機会だと思っていた私だが
「ほらほらぁ!もっと飲みなよ柏木さん!」
「…いいえ、もう充分飲んだので大丈夫です」
「えぇ〜まだまだ飲めるでしょ?新入社員なんだから先輩の言うことはきちんと聞かないと!」
「………」
まだ会が終わるまで1時間以上あると言うのに、帰りたくて仕方なかった。
「いやぁ!初めて見た時から思ってたけど、柏木さんってモロ俺のタイプ!めっちゃストライク!」
もちろん帰りたい理由は、私の隣に陣取る3年先輩だという酔っ払い男のせいだ。