第41章 今世の私も、余す事なくもらってください✳︎不死川さん※微裏有
「しておきます!身体の準備も心の準備も…きっちりバッチリ済ませておくので覚悟しておいてください!」
「おうおう相変わらずの潔さだなァ」
実弥さんはそう言いながら私をやんわり引き剥がすと
「じゃあ行って来らァ」
と言いながら部屋の出入り口へと歩いて行った。私がその背中に
「いってらっしゃい。寂しいから早く帰ってきてくださいね」
と声を掛けると、実弥さんは左手をポケットに突っ込み、右手を頭の高さあたりまで上げ、ヒラヒラと後ろ手に手を振ってくれたのだった。
フローラルのいい香りがするボディーソープで身体を丁寧に洗っていると
"すずね"
扉の外から名前を呼ばれた。
「なんですか実弥さん?」
"…バスローブのとこに…置いたからなァ"
その言葉に、食事をしていた時に交わした実弥さんとの会話が思い出される。
「あ…はい!ありがとうございます!」
私がそう返事をすると、うっすらと浴室の扉の向こうに見えていた実弥さんの姿が遠のいて行った。
…実弥さんが買ってくれた下着…どんなやつなんだろう?まぁでも、実弥さんが私の為に選んでくれた下着だったら、デザインがダサくっても全然平気
なにかとセンスのいい実弥さんに限ってそんなことはないとは思うが、万が一自分の趣味に合わないものだったとしても、"実弥さんが私のために選んでくれたもの"と思えば、どんなものだっていいと思えてしまうから不思議だ。
…よし!急いで洗っちゃおう!
私は決して洗い残しなどないよう、尚且つ急いで身体を洗い上げた。
……あの中に…実弥さんが選んでくれた下着が…
バスタオルの横に準備しておいたホテルの名前入りのバスローブの上には、某有名下着メーカーの名前が入った可愛らしい巾着袋が置かれていた。
急いで身体をふき、身体にバスタオルを巻きながら浴室から出るとその巾着袋を手に取る。ドキドキしながら巾着袋を開くと
「……実弥さんの…好きそうな色」
ぱっと見シンプルに見えるが、ところどころに可愛いレースの装飾がされている深い緑色の下着が目に飛び込んできた。