第41章 今世の私も、余す事なくもらってください✳︎不死川さん※微裏有
「…"あれ"…ちゃんと持ってきましたか?」
実弥さんは私のその問いにギョッとした表情を見せたが、しばらく黙った後
「……それも用意して来てらァ」
僅かに頬を染め、私から視線をフイっと外しながらそう答えた。
その仕草が私の心をギュッと強く鷲塚む。
…っもう!普段はSっ気たっぷりなのにどうしてたまにこんなかわいい表情するの!?このギャップがたまらない!!!
「っはい!今夜は寝かせませんから!」
「…っ黙れ馬鹿がァ!」
私は顔を赤くしながら怒る実弥さんに胸をときめせ、元気いっぱい返事をしたのだった。
「わぁぁぁぁぁあ!実弥さん!見てくださいこの綺麗な夜景!」
食事を終え、実弥さんがとってくれた部屋へと訪れた私は、思わず感嘆の声を上げてしまう。
「確かにすげェな」
窓に張り付くように外の景色を見ていた私の背後にピタリと身を寄せるようにしながら、実弥さんも外の景色を眺めているようだった。
「…こんな素敵な部屋に泊まれるなんて…っ実弥さんありがとうございます!」
クルリと振り返り、実弥さんの逞しい胸板にギュッと抱きつく。そんな私の頭頂部を実弥さんは優しい手つきで撫でてくれる。
「さっき飲んだばっかりだがァ…折角だし、夜景をつまみにワインでも飲むかァ?」
「あ!それとってもいいです!頼みましょう頼みましょう」
ピョンピョンと飛び跳ねるように喜ぶ私を、実弥さんは優しい笑顔を浮かべながら見下ろしていた。
「…実弥さんのその顔…すごぉく好きです」
そう言いながらグリグリとおでこを実弥さんに押し付けていると
「馬鹿言ってねェでさっさとシャワー浴びてこい。その間になんか適当に頼んどいてやるよ」
実弥さんはそう言いながら、自身の胸ポケットに入れてあった車の鍵を取り出した。
「車に行くんですか?」
何の気なしにそう尋ねた私を、実弥さんはチラリと見遣る。
…その視線も好き!
そんな馬鹿なことを考えている私の耳元に実弥さんはゆっくりと口元を寄せると
「荷物の入った鞄取ってくるからよォ…きちんと準備しとけよ」
実弥さんは甘く囁くような口調でそう言った。