第39章 あなたの声は聴こえてるよ✳︎不死川さん※微裏
けれども意を決したように、再び私と視線を合わせると
「…あいつのことは確かに好きだった」
はっきりとそう言った。その言葉に、私の胸はぎゅっと強く締め付けられる。
「ほら…やっぱり「だがなァ」」
不死川は私の言葉を遮ると、私の腕を引きぐっと起こし上げた。それから私の首に両腕を回し、すっかり冷えてしまった私の身体を温めるようにぎゅっと抱きしめてくれた。
「俺のあいつに対する…胡蝶に対する感情は…母親に向けて抱いてたそれと似たものだ」
「…不死川の…お母さん?」
「…あァ。お前に対するのとは違ェ」
不死川はそう言うと、”かっこ悪ィからもう言わせんな”と、私の肩口に顔を埋めながら呟いた。
「……そっか」
「あァそうだよ。だから間違っても他の男に足開くんじゃねェ」
「…ん。そんなん当たり前じゃん」
「あァん!?こんな状況になっておいてどの口が当たり前だなんて言うんだァ!?」
「っ痛!」
不死川は私の頭を両手で鷲掴みにし、強制的に視線を合わされた。その表情は、一般隊士であれば震えあがってしまいそうな迫力を有していたが、私の目にはどんな不死川の表情も愛おしく映る。
「不死川」
「なんだァ!?」
「大好き」
「…っ!?」
「私の男になって」
甘くねだるようにそう言った私に
「…馬鹿野郎ォ…俺はとっくにお前の男だァ」
不死川も私と同じくらい甘い声色でそう答えたのだった。
その後不死川は
”一瞬でも俺以外の男に足を開こうとした仕置きだァ”
なんてことを言って私の事を気を失うまで激しく抱いた。そして目が覚めた時には、慣れ親しんだ風柱邸の布団の中に横たわっていた。
”どうしてあんなタイミングよく現れたの?”
不思議に思った私がそう尋ねると、実は私の鴉に、私の身に少しでも危ないことやおかしなことが起きたら連絡を寄越すようにと頼んでいた事を気まずそうに(恥ずかしそうって言った方が正しいのかな?)頭をボリボリと搔きながら教えてくれた。