第39章 あなたの声は聴こえてるよ✳︎不死川さん※微裏
その言葉の意味を理解した途端、心の奥底に沈めたはずの心がブワリと大きな波を立て私の胸の中心に浮き上がって来た。
「…ねぇ」
「なんだァ」
「それって…私のこと…”不死川は好き”だって…解釈してもいいの?」
ここで曖昧にしてしまえば、素直じゃない不死川はきっともう自分の気持ちをこうして打ち明けてくれることはないかもしれない。だから今、きちんと確認したかった。
三白眼をジッと見つめそう尋ねた私に
「…あァ」
不死川は耳の端を僅かに赤く染めながらそう答えた。
「…そっか……やばっ…嬉し」
噛みしめるようにそう言った私に対し
「そうかよォ」
不死川はぶっきらぼうにそう答えたが、その口角は僅かに上がっていた。けれども次の瞬間、何故か不死川の眉間に再び深いしわが刻まれ
「つうかよォ…俺はお前のこと自分の女だと思って側に置いといたつもりだがァ、今の話だと、お前はそう思ってなかったってェことだよなァ?」
先程の甘い空気はどこへ行ってしまったのか、明らかに不機嫌な様子でそう尋ねてきた。
「……そうだけど」
「そうだけど…じゃねェんだよ!そう思ってんなら簡単にその身体差し出すなァ!今回のことと言いお前の貞操観念とち狂ってんのかァ!?」
「…っ…だって!」
「だってじゃねェ!大事な身体を易々と男に触らせんな!」
「っだって!不死川のこと好きだったから…身体だけでもいいと思ったんだもん!っていうか不死川……花柱様のことが好きだったんじゃないの?」
私のその問いに、不死川は不自然な瞬きをし、その様子が、私の認識が間違っていないことをしっかりと示していた。
「ほら!やっぱりそうじゃん…だから私…自分の気持ち…言えなくて……身体だけでも…それだけでも…不死川が私を求めてくれるならいいと思ったんだもん!」
その言葉に
「……」
不死川は私から視線を逸らし、しばらく黙り込んだ。