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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第39章 あなたの声は聴こえてるよ✳︎不死川さん※微裏


だとしても、不死川と交わすそれとは違い、身体は開いても心だけは絶対に、何があっても開いたりはしない。


その意地だけは何が何でも通すんだから


自らの心に固く誓いを立てた私は、自ら隊服のボタンに手を掛け、身にまとっている衣服をすべて脱ぎ去った。

少しでもあの男の気を削いでやろうと脱いだ服も適当にその辺に放って置き、髪を結っていた紐も同じように投げ捨てた。


「……来るなら来なさい」


無意識に呟いたその言葉は、奇しくも最終戦別の際、初めて鬼と対峙した時に発したそれと同じだった。

その時





ぎやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!




何処からともなく男性の叫び声が聞こえてきた。


…何?誰か気持ち悪い虫でも踏んづけたのかな?


半ば現実逃避をするようにそんなことを考えながらしばらく待っていると

スパーン!

私が背を向けていた襖が、酷く乱暴な様子で開かれた。


…壊れんでしょうが…もっと静かに開きなさいよ


そんな文句を心の中でつぶやいている間に

スパーン!

今度は同じような音を立て、それが閉められた。その行為が無性に腹立たしく


「…うるさいんだけど。もっと静かに出来ないわけ?」


たっぷりの嫌みを込め、振り返ることもなくそう言った。その直後


…っ何!?


ブワッと部屋を包んだ殺気にも近い気配に、私は慌てて振り返ろうとした。けれども


「…っ…痛…!」


物凄い力で両手首を掴まれ、ドンッと床が音を立てるほどの勢いで布団に押し付倒された。あまりの急激な展開と痛みに反応できず、一瞬目を瞑ってしまう。


「…こんなんで目ェ瞑っちまうたァ情けねぇやつだなァ」


聞こえてきたいるはずのない人物の声に


「…え?」


私は間の抜けた声を出しながら目を開いた。すると私の視界に飛び込んできたのは


「こんな場所でそんな恰好でェ…あんな雑魚野郎とお前はナニするつもりでいんだァ?」

「…っ…不死川!?」


鬼のような形相で私を見下ろす不死川の顔だった。


なんで?どうして?いつから?どうやってここが?


てっきりあの不快極まりない男が戻って来たのだと思っていたのに、目の前にあるのは好いた男の顔(先に述べた通り鬼のよう形相ではるが)。

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