• テキストサイズ

鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第39章 あなたの声は聴こえてるよ✳︎不死川さん※微裏


…ここで私が”尻軽”だって言わないと…こいつはきっと不死川のことを悪者扱いする…そんなの嫌だ…だったら…私が尻軽女でいい……ていうか、あながち間違いじゃないし…


「……いいよ」

「え?なになに?」


男はわざとらしく私の顔に耳を寄せ聞いているようだ。


「行くよ。行けばいいんでしょ。尻軽女だからね…どこへだって付いていきますよ!」


投げやりにそう言った私に


「…物分かりがいい女って最高」


男はとても楽し気な様子でそう言った。



























たどり着いたのは、想像通り連れ込み宿だった。

受付を男に腰を抱かれるようにしながら通り抜け、渡された鍵の数字と一致する部屋へと向かう。足は鉛のように重いし、部屋に近づけば近づくほど心は冷えて行った。


「柏木ちゃんの為にいい宿選んだからね~」


それでも不死川の立場が悪くなるような噂を流されるくらいなら、自分の身を好きでも何でもない男に汚される方がましだ。


恋仲じゃない相手と情を交わす…はたから見ればやってることは不死川とするのと一緒だもん…


たった一度すれば済む
野良犬に噛まれたと思えばいい


自分自身にそう言い聞かせながら私は布団の敷かれた薄暗い部屋に足を踏み入れた。


「それじゃあ厠に行ってくるけど、逃げたりしたらわかってるよね?」

「…誰が逃げるか。あんたみたいな卑怯者と一緒にしないで」

「うんうん。いいよいいよ~。じゃあ、行ってくるね」


そう言いながら私の頭に触れてこようとしてそいつの右手を叩き落とし


「さっさと行きなさいよ」


顔を見ずにそう告げた後、布団の真ん中に胡坐をかいて座った。


「お~怖い怖い」


極めて楽し気な声色でそう言った男は、足取り軽く厠へと向かって行った。

部屋に一人取り残された私は、少しでもあの男を楽しませない手立てがないかと思考を巡らせる。


…万に一つ気持ちよさを感じてしまったとしても……何がなんでも声なんか出さないんだから


不死川の手によりすっかり快感を覚えさせられてしまった私の身体は、通和散でも使われてしまえば私の意志に関係なく反応してしまう可能性は高い。

/ 898ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp