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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第39章 あなたの声は聴こえてるよ✳︎不死川さん※微裏


廊下を歩き、屋敷の外を目指し歩いていると


”よぉ…元気かァ?”


私のよく知った声が、あまり聞いたことのないような調子で誰かにそんなことを聞いている声が耳に入って来た。


…不死川…?蝶屋敷にいるなんて…珍しいこともあるんだな…


怪我をしても大抵放置している印象のある不死川がこんなところにいることも、誰に向けた質問かわからないが、”元気か?”なんて聞くことも意外でしょうがなかった。


「……」


一瞬、その相手が誰なのか確かめに行こうか悩んだ。けれども下手に近づけば柱である不死川に気配を悟られる可能性が高い。万が一盗み聞きまがいのことをしようとしたことがバレてしまえば、理由を問われ、私のこの恋心を知られてしまう原因にもなりかねない。

気になる気持ちをグッと押し込め、私はそのまま屋敷の玄関まで向かった。


…知らない方が…幸せなこともある…よね


そう思うことで自らを納得させたはずだったのに


”最近不死川様、しのぶ様のところによく来てくれますね”

”そうね。毎回元気か聞いていくし、私たちにもたくさん差し入れを持ってきてくれるものね”

”…やっぱりカナエ様と不死川様って……”


「…っ…!!!」


【現実と向き合え】


と神様が私に言っているように、知りたくなかった事実がひょっこりと私の目の前に顔を出した。


…そっか……そういう…ことね……


あの日、何故不死川が何かを誤魔化すように何度も何度も私を抱いたのか。その理由を、私はこんな形で見つけてしまった。

話し声のする部屋の前を通らないよう遠回りをしながら玄関まで向かい、私は急いで草履を引っかけ外に出た。



























ぼんやりと、何かを考えているような考えていないような意識状態で歩き続けてたどり着いたのは、まだ不死川が柱になる前、合同任務の際何度か共に歩いたことのある道だった。

そこには綺麗な花を咲かせる野草がたくさん生えており

”血濡れた道を歩く私には不釣り合いな場所だな”

なんてことを考えながら歩いたことはまだ記憶に新しい。

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