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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第39章 あなたの声は聴こえてるよ✳︎不死川さん※微裏


”……っくり…よな……”

”……と…よ…”


……ん…?


誰かの話し声が聞こえた気がし、私の意識が眠りの世界から引っ張りあげられていく。


「花柱様…強くて優しくて…俺密かに憧れてたんだけどなぁ」


…っまずい!もう来てるじゃん!起こしてって言ったのに


私の隣に座っている鴉に視線をよこすと、スピスピと小さな寝息を立てて気持ちよさそうに眠っていた。


任せろって言ってたじゃない…!


呑気に寝ている鴉を揺すり起こし、慌てて立ち上がると


「…っすみません!任務続きで疲れてて…すっかり眠りこけてしまいました!」


まさか

”風柱に抱かれまくり疲れて寝ていた”

とは言えるはずもなく、私は急いで立ち上がると、談笑している2人に向けそう声を掛けた。


「あぁ気にしないでくれ。あともう一人来てないから。よく眠ってるし、そいつが来たら起こそうと思ってたんだ」


人のいい笑みを浮かべながら私の方に振り返ったのは、何度か任務を共にしたことのあるさらさらヘアーの持ち主である村田さんだ。


…この人、なんかいい意味で普通の人なんだよね。この人が同じ隊にいると、肩の力がいい感じに抜けるんだよな。…それにしてもさっきの話って…


「気を遣ってもらってありがとうございます!あの…ところで…花柱様に何かあったんですか?」


花柱様には私も何度かお世話になったことがあった。その扱う呼吸の通り、花のようにフワリと可憐で、それでいて凛とした素敵な女性だ。村田さんじゃないもう1人…名前の知らないその隊士と同じように、私も密かな憧れの念を抱いていた。

私の質問に、村田さんともう1人の隊士はその表情を急激に暗くし


「……花柱様、上弦と戦って亡くなったらしいんだ」

「あんなに綺麗で強い人だったのに…上弦ってどんだけ強いんだよ」


酷く悲しげな声でそう言った。その信じ難い事実に


「…っ…うそ…!」


私はただ驚くことしか出来なかった。

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