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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第39章 あなたの声は聴こえてるよ✳︎不死川さん※微裏


「不死川の甘いもの好きの方がよっぽど意外だし」

「あァん!?んだとォ!?」

「あ!そんなこと言うと、食後のおはぎは出してあげませぇん」

「…っそれはズリィだろうがァ!!!」


ちょっとした意地悪のつもりで言った言葉に不死川があまりにも食いつくものだから


「…っあはは!冗談だよ!っていうか不死川の家で作ったもんなんだから、家主である不死川に食べちゃ駄目なんて言えるわけないでしょ!」


その様子があまりにも面白く、そして可愛くて、私はお腹を抱えて笑ってしまった。

そんな私を


「…てめェ柏木…!!!」


不死川は般若の形相で睨みつけてきた。



その時。



「伝令ェ!伝令ェ!風柱不死川実弥ィ!至急お館様のお屋敷まで!お館様のお屋敷までェ!!!」


庭の方から不死川の鴉、爽籟のけたたましい声が部屋まで届いて来た。

不死川は慌てて立ち上がると


「悪ィ」

「別にいいよ」

「後で食えそうなもんだけ残しといてくれェ」

「ん。わかった」


そのまま飛ぶような勢いで邸を出て行った。


…柱合会議以外でお館様のお屋敷に緊急招集なんて…何か…あったのかな…?


私は一人になってしまった風柱邸で、残りのご飯を食べ続けた。
























使い終わた食器を片付け、戻って来た不死川が手軽に食べられるようにとお椀に盛ってあったご飯をお握りにし、長四角のお皿に手がついてなさそうだったおかずとともに置いた。


…おはぎは…食べたければ自分で勝手に食べるか


そう結論付けた私は、お節介ながらも軽く掃除を済ませ、風柱邸を後にしようと玄関へと向かった。

草履に足を引っかけようとしたその時


…あ…帰ってきたのかな?


外から感じた不死川の気配に、私は一旦その動きを止めた。

ガラッ

開かれた玄関扉の向こうにいたのはやはり不死川で


「早かったね」


私は何の気なしに声を掛けた。けれども


「……え?」


不死川のあまりにおかしな様子に、私の口から思わず声が漏れ出た。不死川はそんな私の様子を気に留めることもなく、むしろそこに私などいないように無視をしながら横をすり抜け、邸の廊下をどんどん歩いて行ってしまう。

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