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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第38章 呼び方なんてどうでも…よくない!*冨岡さん


それから画面を操作し


「ほら見て」


”チーム鱗滝”というトークルームを私に見せてきた。


視界にパッと入ってきた


”柏木にフラれてしまったが諦めきれない。どうしたらいいか教えて欲しい”


という私のメッセージアプリにも存在する義勇君のアイコンの吹き出しの文面に


「……っ!」


胸がドキッと高鳴った。私の反応を見て、文字を読み終えたと判断した真菰は”見せたの内緒だよ?”と言いながらスマートフォンを引っ込め、ポケットの中にそれを戻した。


「だからね?私個人としては、2人が付き合ってくれると嬉しいんだ」

「…わかった。ありがとう、真菰」

「お礼を言うってことは、義勇とのこと、前向きに考え直してくれるって思っていいのかな?」

「………うん」






そんなこんなで私は義勇との関係を、仲のいい友人から恋人同士へと発展させたのだ。














…そうだよ。そこがよくって付き合い始めたのに…私、どうして今…正反対のことで悩んでるんだろ…


膝に埋めていた顔を上げ、なんとなく視線を洗面台に向けると、義勇の紺色の歯ブラシと、私の薄ピンク色の歯ブラシが仲良く並んでいるのが目に入った。


義勇は正直だ(いい意味でも悪い意味でも)。だから誰かに好かれるために言葉や態度を取り繕ったりしない。思ったままを口にして思ったままに行動する。だから義勇の中身も知らず、その見た目だけに釣られて近寄ってきた人たちに対する対応はまぁ冷たい。その様子は

”…もう少し…言い方があるんじゃ…?”

と、本来では自分の彼氏に言い寄られ、怒ったり、不快感を感じるのが普通の反応であろう私がそう思ってしまう程だ。

そんな義勇が、私と長年恋人同士という関係を続け、ましてや同棲生活を送っているということが、義勇が私を愛し、必要としてくれている証拠ではなかろうか。

それを言うと家政婦扱いしているんじゃない?と、言われてしまうかもしれないが、決してそんなことはない。ご飯を作ることが苦手な義勇だが、お皿洗いはしてくれる。掃除も、雑な私よりも義勇の方がきちんとしてくれている。

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