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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第38章 呼び方なんてどうでも…よくない!*冨岡さん


ボロボロと流れ続ける涙と、喚き散らしたことで乱れてしまっている息に、何故自分はこんな馬鹿な行動をしているんだろうかと自分自身に呆れてしまった。

ポケットに入れっぱなしにしていたスマートフォンを取り出し


”彼氏”
”口下手”
”愛情表現”


と検索をかけてみる。すると出てきたのは

不器用で鈍感な男性の愛情表現を見つけよう

なんでいう今の私にぴったりのページだった。迷うことなくそのページをタップし目を通すと


「……まんま私と義勇じゃん」


出るわ出るわ…身に覚えのある気持ちと出来事。そしてそのページには


①口下手不器用は男性の本質。
 会話だけで愛情を判断してはいけない。
②口下手不器用は行動で愛を示す。
 よく観察するべし。
③口下手不器用はモテない。
 口が上手くて器用なモテモテよりもずっと安心。


という口下手彼氏と上手に関係を築いていくための教訓が3つ挙げられていた。③は教訓というよりも、なんだか無理矢理自分を納得させているようにも見えなくはないが、この③があまりにも身に覚えがありすぎて


「…っ…ふふ…」


思わず笑ってしまった。







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「すずねちゃんは義勇のこと好きなんでしょ?なのにどうして告白断ったの?」


講義の空き時間、教育学の授業のディベートグループで偶然一緒になり、そのまま意気投合した真菰と、大学のすぐそばにあるやたらポップな外観のカフェで私はチョコレートパフェを、真菰はイチゴのパフェをつついていた。

そして先にパフェを食べ終わった真菰が私に投げかけてきたのが冒頭の質問だ。私はその質問に


「だってさぁ…」


口に運ぼうとしていた最後の一口が乗ったスプーンをグラスに戻した。




”俺と付き合って欲しい”

2日前、密かな好意を抱いていた友人の一人である義勇君に告白された私は

”……ごめんなさい”

友達のままでいたいとその告白を断っていた。

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