第38章 呼び方なんてどうでも…よくない!*冨岡さん
…情けないな…
「…すみません。態度に出ちゃってましたか?」
苦笑いを浮かべながら河本さん謝ると
「業務時間中はいつも通りだと思います。でも今日はやけに来るのが早かったみたいだし、午前の休憩と私が声を掛けさせてもらう前まで、すごく思い悩んでるように…私には見えちゃって。お節介焼きですみません」
河本さんも私と同じように苦笑いを浮かべながらそう言った。
「いやいや!全然お節介なんかじゃないです!正直言ってしまうとすごぉく落ち込んでいたので…河本さんに声を掛けてもらえてすごく嬉しかったです!」
私は顔の前で両手をぶんぶんと振り、自分がまったくもって河本さんが声を掛けてくれたことに対して嫌な感情など抱いていないことを懸命に表現して見せる。
「そう?あぁよかった」
安心したように笑っている河本さんに、私もつられて笑ってしまった。
…河本さん…こんな明るくて優しい人だなんて知らなかった…義勇とのこと…相談してみようかな
時計を確認してみると、まだ休憩時間が明けるまで20分ほど時間が残っている。
「あの…もしよかったら、ちょっとだけ私の話、聞いてもらえませんか?」
私が恐る恐るそう尋ねると、河本さんはにっこりと笑みを浮かべ
「私でよければ!」
何故かとっても嬉しそうにそう言ってくれたのだった。
「ということはつまり、柏木さんは、柏木さんの彼氏があまりにも愛情表現してくれなさ過ぎて寂しくなっちゃったってことですか?…やだかわいい」
河本さんはそういうとにんまりと、若干私をからかうような表情を見せた。
「…っかわいくなんてありません!もう!河本さんったら私のことからかってます!?」
恥ずかしさで僅かに声が大きくなってしまった私に
「あはは!ごめんなさい!付き合って長いのに、柏木さん彼氏のこと本当に好きなんだなぁと思ったらなんだか羨ましくなっちゃて」
そういった河本さんは心なしか悲しげにも見えた。