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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第38章 呼び方なんてどうでも…よくない!*冨岡さん


「やった!それじゃあお邪魔します」


その子は私と同じたらこスパゲッティの乗ったおぼんをテーブルに乗せると私の隣に腰かけた。


「きちんと話をするのは今回が初めてでしたね。私、河本です」

「私は柏木です」


河本さんはつい最近転職してきた人で、同じ部屋で仕事はしているものの初日に少し挨拶を交わしただけできちんと話をしたことはなかった。


「もちろん知ってます!私の直属の上司が、何かあれば柏木さんは凄く面倒見のいいやつだから相談してみなさいって言ってましたので」

「え?そんなこと言われてたんですか?」

「はい。現状特に悩んでいることはないので声を掛けるの我慢してたんですけど、私、柏木さんとずっと話してみたかったんです」

「そうなんですね。なんか一方的に知られてたみたいで…ちょっと恥ずかしいです」

「恥ずかしいだなんて…柏木さんかわいい人ですね!」


そういいながら河本さんはニカっと明るい笑みを私へと向けてくれた。そんな様子に


…この間の飲み会の時も思ったけど、河本さん、さっぱりとした明るい人だな


私にしては珍しく、もっと話してみたいかもという印象を抱いた。


私は本来、会社の人とはそこまで仲良くなりたいとは思わないタイプだ。プライベートを仕事に持ち込みたくないし、同様に家に帰ったら仕事のことは考えたくない。器用じゃない私が自分の心の安泰を保つための大事な防衛策だ。

けれども、先週の飲み会の一件もあり、河本さんはプライベートでも関わりたいかもと珍しく思っていたのだ。


「あぁお腹すいた。いただきまぁす」


河本さんはそういうと、丁寧に手を合わせた後、たらこスパゲッティをフォークにくるくると巻き付け始めた。その動作に倣い、私も残り3分の1程あるたらこスパゲッティの続きに手を伸ばした。











「ご馳走さまでしたぁ」

「…河本さん、食べるの早いですね」


河本さんは私が食べ終えるのとほぼ同時にたらこスパゲッティをすべて食べ終えていた。

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