第36章 これから先の未来、ずっと一緒に✳︎不死川さん
「…これなァ…108本あんだよ」
「108本の…向日葵…?」
「あァ。花言葉は……”私と結婚してください”…だ」
「…っ!!!」
一呼吸置いた後
「すずね。…また…俺の嫁さんになってくれねぇかァ?」
実弥さんが頬を僅かに赤らめながらそう言った。
「…っ…ふ…」
その言葉の意味を理解した途端、ブワリと涙が溢れ出てきた。私は一刻も早く実弥さんに返事をしたいのに、口を開いてしまえば嗚咽が漏れてしまいそうで、口を両手で抑えながら何度も何度も首を縦に振った。
そんな私に
「…ふっ…馬鹿がァ…んな首ふってると、具合悪くなっちまうぜェ。…つうか口塞いでねェでこれ受け取れよ。恰好つかねぇだろうがァ…」
実弥さんは困ったように笑いながらズイッと向日葵の花束を渡してきた。仕方なしに口を覆っていた手を離し、花束を受け取るも
「…ひっ…ふぇ…」
蓋をなくした私の口からは情けない泣き声が漏れ出し、実弥さんはそんな私の様子を見てクツクツと笑い出した。
「…笑わ…ないで…っ…よぉ…!」
私が泣きながら怒っていると
「…っ…悪ィ悪ィ…んな怒るなって…ククッ」
実弥さんは、悪いなんて言いながらもさらにその笑みを深める。
「…っ…もう…実弥さんの…っ…いじわる…!」
恥ずかしくて、プイと実弥さんから反らしたその顔を、実弥さんの手がぐっと掴んだ。そうして上を向かされると
ちゅっ
実弥さんの薄く柔らかい唇が、私のそれを塞いだ。
驚きで目を見開いている間に、キスはあという間に終わってしまい
「…はっ…相変わらず面白ェ顔」
先ほどとは違い、余裕綽々な表情を浮かべた実弥さんが私の顔を見て笑っている。
…やだ…かわいい笑顔…!
実弥さんへの好きで胸が溢れそうになりながらも、何か一言言っやりたいと口を開いたが
「…っやっぱりいじわ「でもすげェかわいい」…っ!」
結局最後まで言葉にすることは出来ず、その一言の代わりに
「っ好き!大好き!愛してる!私の実弥さぁぁぁん!」
999本の向日葵が咲き誇る丘で、実弥さんへの愛を叫ぶのだった。