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鰯料理の盛合せ【鬼滅短編・中編・長編番外編】

第36章 これから先の未来、ずっと一緒に✳︎不死川さん


心の中で”さようなら私の邪な妄想”…と手を振りながら


「…立ち寄りたいところってどこなんです?」


実弥さんにそう尋ねたが


「…ちょっとなァ…」


と、はぐらかされてしまった。実弥さんは何かを確認し終えたのか、スマートフォンを車の収納スペースに置くと


「っし。行くぞォ」

「…はぁい」


エンジンを始動し、車を走らせた。
























車が動き出してものの5分も経たないうちに


…まずい…ものすごく……眠い…


一定な車の揺れで瞼が重くなり、私は今にも眠りに落ちてしまいそうになっていた。

今朝は起きるのが早かったし、普段よりもたくさん歩いた。そして実弥さんとの初めての遠出ということで、かなりはしゃいでしまった自覚がある。けれども実弥さんとてそれは同じだ(私と違いはしゃいではいなかったが)。それなのに、助手席に座っているだけの私が眠るわけにはいかない。

寝てしまいそうになるのを懸命にこらえていると


「眠ィんならとっとと寝ちまいなァ」


ハンドルを握った実弥さんが、前をじっと見ながらそう言った。


「…でも…流石に悪いです…」

「別に悪かァねぇよ。30分ちょいで着いちまうがァそれまで寝てろ」

「…すみません…それじゃあお言葉に甘えさせてもらいます…」

「ん」

「…おやすみなさい」


もぞもぞと体制を整え目をつぶった私は、あっという間に眠りの世界へと足を踏み入れてしまうのだった。





















"…い……ろォ…"


大好きな実弥さんの声と、優しく肩を揺さぶられる感覚で意識が浮上する。それからゆっくりと目を開けると


「着いたぞォ」


三白眼なのにまつ毛のせいで可愛く見える瞳と目があった。


「…かっこい…」

「起き抜けに阿保ぬかしてんじゃねェよォ」

「…へへ」


私がへにゃりと笑いかけると、実弥さんは呆れながらも柔らかさを含んだ笑みを私に向けてくれた。


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