第36章 これから先の未来、ずっと一緒に✳︎不死川さん
「なに言ってるんです?私だってまだ現役の学生です!高校生が見て回れるのに私が見て回れないはずがありません」
「随分な理屈だなァ…ま、せいぜい頑張れや」
「はい!それじゃあ下見をしつつ、公園散策に出発しましょう!」
「へいへい」
間にお昼休憩を挟んだりはしたものの
「…実弥さぁん…私…もう疲れましたぁ…」
時計の針が3時に届くころ、私の体力は限界を迎えた。
近くにあったベンチにドスンと座る私に反し
「ったくよォ…学生のくせに体力ねぇなァ」
余裕綽々な実弥さんが腕を組み、呆れた様子で私のことを見下ろしている。
「大学生と中高生を一緒にされたらこまりますぅ」
「さっきと言ってることが180度違ぇじゃねぇかァ」
実弥さんは、ベンチに座り口を尖らせぶぅぶぅと文句を述べる私へと近づいてくると
ポン
私の頭のてっぺんにその大きな手のひらを乗せた。
「…うし。寄りたいところもあるし…ぼちぼち移動するかァ」
「下見はもういいんですか?まだ全部回りきってませんけど?」
「大体は把握できたからな。っほらよ」
実弥さんは右手でグイッと私の左手を引っ張り
「くっついとけェ」
自分の左腕に私それを導いた。
「え?いいんですか?」
恐らくこれは実弥さんの腕に絡みついてもいいというお許しが出たということだと思われる。
…やっぱりおかしい
普段私が外でこれをしようとすると
”人前でベタベタくつくんじゃねェ”
と叱られてしまう(めげずに絡みつくけど)。
なのに今日は、実弥さん自ら私にそうするように言ってくれている。
実弥さんの腕にぎゅっとしがみつきながら右斜め上にある顔を(やだもうかっこいい!)じっと見つめていると
「…なんだァ?」
私の熱視線に気が付いた実弥さんが私のことをじっと見降ろしてきた。