第36章 これから先の未来、ずっと一緒に✳︎不死川さん
ずんだスイーツを楽しんだ私と実弥さんは、目的地である海浜公園へと再び車を走らせ、およそ1時間半後に到着することが出来た。
駐車場に車を停め、エントランスから中に入ると
「わぁぁぁ!凄い!お花がたくさんです!」
あたり一面、色とりどりの花で埋め尽くされていた。
「確かに…こりゃすげぇな」
「はい!あぁ!どんなふうに管理すればこんなに綺麗な花がたくさん咲くんだろう!花屋の姪の血が騒ぎます!実弥さん早く行きましょう!」
そう言いながら実弥さんの腕に自分の腕を絡めグイグイ引っ張ると
「んな慌てんなって」
実弥さんは”仕方ねぇなァ”と言わんばかりの顔をしながらそう言った。
そんな様子に
「……実弥さん、今日はなんだか大人しいですね。何か悩みでもあるんですか?」
私は首を傾げそんなことを尋ねてしまった。
会えばほぼ毎回…最低1回は”くっつきすぎだァ”等と私の激しいスキンシップにお叱りを受ける(全然気にしないけどね)。けれども今日はまだ一度もそれがない。”あぁ来る…!”というシチュエーションに何度かなってはいる筈なのに。
そんな私の問いにも
「…随分な言い草だなァ…なんでもねぇよ」
実弥さんはごまかすようにそう言うと、腕に引っ付く私を引き連れ花に囲まれた道を歩き始めた。
…なんか…やっぱりおかしい
短い期間とは言え、前世で実弥さんの妻をしていた身だ。愛する夫の様子がいつもと違うことは何となくわかる。それでも、何か思い詰めているだとか悩んでいる…という感じではないので、あまり首を突っ込むのはよくないとそれ以上は何も聞かなかった。
校外学習の下見とは言え、折角こんな素敵な場所で実弥さんとデートが出来るんだもん…満喫しないとね!
「よし!せっかくなので公園内をくまなく回って、全部のお花を見ましょう!」
「俺は平気だがァ…お前、体力もつのかァ?」
実弥さんの言う通り、この海浜公園はものすごく広大な敷地を有しており、園内を巡行するバスやレンタルサイクルを利用しない限り全箇所回るのは難しい。