第34章 手紙とハンドクリームが起こした奇跡✳︎宇髄さん
「だってだって全部が素敵過ぎるんだもん!赤茶色のその目も声も上腕二頭筋もマイクを握るその手も指も書く歌詞もその素敵な歌詞を思いつく頭の中も全部全部大好きなんですもん!どこがいいなんてどの曲がいいなんて私には選べない!!!」
マシンガンのように私の口から放たれる言葉に
「「「「「「…」」」」」」
黙り込む6人と
「なるほど!つまりは宇髄の全てが好きなんだな!」
全く動じない煉獄さんと
「はい!大大大好きです!」
コーヒー牛乳…基、甘くておいしいお酒で嘗てない程に気持ちが大きくなった私。
気持ちが昂りじっと座っていることが出来ない私はバッと勢いよく立ちあがった。その時
「…はれれ…?」
なんだか急に頭がクラクラし始めフラリとよろけてしまう。
そんな私の肩を
「馬鹿。飲みすぎなんだよ」
天元さんの手が掴み、グイっとそのがっしりとした身体に抱き寄せられ支えられた。
服越しにも感じることが出来る厚い胸板
私よりも高いその体温
より近くに感じる私の癖に刺さる高すぎず低すぎない声
そして
…めっちゃ…いい匂い…!
心臓がありえないほどにバクバクと大きな音を立て騒いでおり、お酒の影響でただでさえ熱くなっていた身体がさらに熱くなる。
「…っおトイレ!お借りします!」
「っおい!危ねぇから急に動くな!」
天元さんの腕を振り払い、無駄に大回りをしながらトイレへと向かい個室へと雪崩れ込むように逃げ込んだ。中に入り鍵をカチャリと締めると
「…素敵すぎる…!」
頭を抱えながらその場にしゃがみ込む。
間近に感じた天元さん匂い(香りの方が相応しいのかな?)に、一気に酔いが覚めてしまった。
…私ったら…何をまぁ恥ずかしげもなく本人たちに語っちゃったんだろう…!
ゆっくりと立ちあがり用をすませ、きれいな切り花の飾られた手洗い台で手を洗う。正面には大きな鏡があり
…顔赤い…こんなに酔っぱらったの久しぶり
そのまま水で冷たくなった手を頬にあてた。するとアルコール、それからそれとは違った熱で火照った頬が冷され気持ちがいい。いつまでもここに隠れていたい気もするが、私がここに立てこもってしまっていると、密璃ちゃんや胡蝶さんが困ってしまうかもしれない。